〈権利関係〉意思無能力者且つ制限行為能力者だった人の契約は…

Rrrrさん
(No.1)
◆
「未成年者が意思無能力の状態で契約」などが起きたら?
契約はそもそも無効だから取り消し不可能?
→無効にしてもいいし、取り消しをしてもいい。
そもそも無効だから取り消しできない、とは考えない。
◆
書いてあることは理解出来るのですが…
無効って、主張するまでもなく「無効」ですよね?効力が無いと書いて「無効」だから。
「無効であることを主張するまでは有効」とか、当然無いですよね?
だったら「無効要因」がある時点で取り消し可否もへったくれも無いと思うんですが…取り消し対象となる取引が存在しない(だってそもそも無効だから)のに。
理解はしましたが納得がいきません。
2025.05.29 13:11
勉強嫌いの行政書士さん
(No.2)
>「未成年者が意思無能力の状態で契約」などが起きたら?
3条の2で無効です。
よって、取消権も発生しません。
また、無効はだれに対しても主張できます。
ただし、第三者保護規定がある場合は例外です。
>主張するまでもなく「無効」ですよね?
その通りです。
だからといって、履行後であれば、相手方に無効でだったことの通知がなければ、
無効と認識できませんよね・・・
そして、原状回復義務や不当利得で清算することにだってできないわけです。
第3条の2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、
その法律行為は、無効とする。
2025.05.29 15:59
ヤスさん
(No.3)
確かに勉強嫌いの行政書士さんがおっしゃるように、無効は最初からなんの効果も生じないものなんで、それを取消すなんて理論的におかしいですよね。
しかし、無効も取消も両方主張できる場合に、どちらかに限定せずに主張できる方を取れば良いんじゃないのというのが、この二重効の問題なんです。
勉強嫌いの行政書士さんがあげてくれている通り、民法3条の2で意思無能力者の法律行為は無効です。
設例は意思無能力者でさらに未成年者と言う事なので、民法5条2項により、法定代理人の同意のない未成年者の法律行為は取消す事ができます。
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
この3条の2も5条も本人の財産を保護するための規定ですよね。
じゃあ無効のものを取消すなんて理論上ありえないという考えに固執してしまうと、例えば、意思無能力だったので無効だと証明するのは難しいけど、未成年者だったので取消できると証明するのはたやすくできる場合に、みすみす本人保護の機会を逃してしまう事になりませんか。
両者の制度の目的が本人保護なら、その目的を達成できるように解釈してあげるのが、妥当な解釈だと思いませんか。
そう考えたら、無効も取消もどっちも主張できるなら、主張しやすい方を選んだらよいとするのが、スレ主さんが調べられた「無効と取消の二重効」の説明なんです。
ただ宅建試験でここまで踏み込んだ問題が出る事はないと思います。
2025.05.29 20:17
太郎さん
(No.4)
無効って、理論上は主張するまでもなく「無効」ですけど
現実問題、無効も「意思無能力だから無効だ!」
と「主張して初めて無効になります」よね?
すると、不思議なことに、「取り消し」も「無効」も、あまり変わらないですね。
2025.05.29 20:49
Rrrrさん
(No.5)
勉強嫌いの行政書士様がすごく詳細な民法を書いて下さり
ヤス様が「でも、こういうケースだったら?」とわかりやすい例を挙げてくださり
太郎様が「理論上はそうだけど…」と現実的な視点から教えて下さり
そのおかげで「あ、なるほど!」とようやく「納得」することが出来ました。
皆様のおかげです!本当にありがとうございました。
2025.05.30 00:04
ヤスさん
(No.6)
この意思無能力による無効は、主張しなくても無効と言うものではなく、主張が必要だし、しかも誰でも主張できるものではなく意思能力を有しない側(本人、代理人、承継人)しか主張できないものだからです。
例えば、公序良俗違反の契約は無効です(90条)。
さつじんを依頼する契約は、公序良俗に反して無効とされますが、さつじんは誰が見ても悪い事なんで、誰が主張しようが、そもそも主張しなくても悪い事です。これって、人をころしてはいけないと言う常識的な秩序を守るために無効としています。
それに対して、意思無能力の無効(3条の2)は、本人の財産保護を目的にしています。意思無能力者が法律行為をすることは、さっきの公序良俗違反のさつじんと同じく誰から見ても絶対悪ですか?
そうではありませんよね。私的自治の原則により、こういう人だって契約を結ぶことも認められます。ただ意思無能力者は往々にしてだまされて財産を失う羽目になってしまう事が多いため、本人保護の観点から意思無能力者の法律行為は無効として守ってあげているんです。本人保護が目的なんで、その目的を達成できる範囲で保護を考えれば良く、本人側のみ主張できます。
ちなみに余談ですが、この3条の2が民法改正で加わる前の衆議院の法務委員会で以下のような質疑がありました。少し意訳して紹介します。
Q:無効というのは誰からでも主張できるのが普通なわけだが、ここの(3条の2)無効もそういう考え方か。
A:意思能力を有しない者の側のみが主張することができるものであって、相手方とか第三者は主張できないと解するのが一般的なので、改正法案も同じように解釈する。
Q:「法律行為は無効とする」ではなく、「意思能力を有しない者はその法律行為の無効を主張できる」とわかりやすく書けば良いのではないか。
A:無効と言う法律行為自体の効力を無くすことなので、これで充分本来の目的を達成できる。
※一度投稿したら、一部ガイドラインに反した文字(多分さつじん)が含まれるため、投稿がはじかれましたので、「さつじん」や「ころす」とひらがな表記に変えています。読みにくいのはご容赦下さいませ。
2025.05.30 01:12
Rrrrさん
(No.7)
補足してくださりありがとうございます!
そうか、公序良俗違反とかそういう無効とは別の話ですね。その辺りが少し曖昧になっていました。
この民法は誰のためのもの?を考えることの重要性を再認識した次第です。
過去にされた質疑についても教えて下さりありがとうございます。「分かりやすくしたら?」なんて提案もされたことがあるんですね。大変興味深く読ませて頂きました。
ぼんやりしていた部分も明確に出来ました。ありがとうございました!
2025.05.30 01:20
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