平成26年問題肢イの考え方について

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
タラさん
(No.1)
これは、無権代理であることはむろんすぐ判断できますが、本来、単に(無権)代理人と相手方との契約が成された→無効、で済む問題では無いのでしょうか? そして相手方からの無権代理人への損害賠償責任を問うと。
それを広義の無権代理である表見代理まで類推し、規定を適用させる=契約を有効にするというのはいささか大げさでは無いのでしょうか?
あくまでも、可能性としてはあり得るんだと、それだけ相手方を本人の犠牲のもと表見代理としては成り立んだ、代理人という制度は便利な分相当以上の責任を本人は負うものなのだと割り切って学習するものでしょうかね、と思いながらもどこか腑に落ちなくて、簡単な問題(答えとしては分かっており、正解もしておるのですが)ですのにすみません。

ちなみに、この無権代理人が仮に顕名してないとすると、表見代理は成り立たないのでしょうか?
2025.05.22 15:08
タラさん
(No.2)
すみません、問題は2であり、肢がイです。

平成26年問2
2025.05.22 15:13
勉強嫌いの行政書士さん
(No.3)
>無権代理である表見代理まで類推し、規定を適用させる
>契約を有効にするというのはいささか大げさでは無いのでしょうか?

大げさではありません。
また、類推適用でもありません。
表見代理をまだ理解していないと思います。
表見代理は、109・110・112条に規定されています。
(この3条文以外に表見代理は成立しません。)

条文の構成上、その後に無権代理(113)があることから、
私は、表見代理以外は、無権代理と考えています。
(学説は、無権代理の中に表見代理の分類ではありますが・・・)

無権代理の中で特に本人に帰責性が高いものを、表見代理として定義しています。
その効果は、相手方の選択により、履行、取消、解除、損賠をすることができることになります。
そのためには、代理人と相手方の契約が有効に成立していないと、これらの法律行為をすることができません。

>この無権代理人が仮に顕名してないとすると、表見代理は成り立たないのでしょうか?
代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、表見代理が成立します。

参考条文
(本人のためにすることを示さない意思表示)
第100条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。

(代理権授与の表示による表見代理等)
第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2項 略

(権限外の行為の表見代理)
第110条 前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

(代理権消滅後の表見代理等)
第112条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

2項 略

(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
2025.05.23 09:41
宅建女子さん
(No.4)
>簡単な問題(答えとしては分かっており、正解もしておるのですが)

簡単でもないと思います。
少し読みが浅いように思いました。

表現代理については、勉強嫌いの行政書士さんがコメントされているとおりです。
表見代理の規定を淡々と当てはめて考えるだけです。

でもこの設問はそこからさらに発展しており、ポイントはこの代理人が「顕名」したのではなく、「本人の名において」取引している点です。

この問題で本当に問うているのは、
取引状況としては表見代理の適用ができる、でも代理人としてではなく本人として取引してる…それでもなお表見代理の規定が当てはまるのか?
ということです。
そしてこれは判例によれば、こういうケースも表見代理を『類推適用』するということで、ここはその意味での『類推適用』です。


>代理人という制度は便利な分相当以上の責任を本人は負うもの

そうです。
表見代理の制度は取引の安全を守るためにあります。
この問で言えば、信頼すべきではない人間にある種の代理権を与えたことで、相手にその者を信じさせる外観を作った本人にも責任ありということです。
2025.05.23 11:25
タラさん
(No.5)
まずは教えてくださった2人のお方、
勉強嫌いの行政書士さん、宅建女子さん、ありがとうございます。

表見代理を無権代理の拡大解釈のようにだけ捉えておりました。質問の投稿以降そもそもなぜこのような規定があるのか、できたのか、を考えた中、私の表見代理についての認識が中途半端だったなあと。勉強嫌いの行政書士さんが挙げてくださった条文を読み返したり、判例(昭和44年12月19日、最高裁第二小法廷、等、軒並み棄却判決)を拝見したりしながら、これはあくまでも無権だけど一見、善意無過失の相手方からすると本人=代理人であると認識できての代理人と交わした契約ゆえに、相手方を守る、と。
そのことと、「え、この場合の信義則に反した代理人は詐欺であって、本人側からすると詐欺に遭ったのに、騙された側も悪いと言えるとはいえ、単に無効に留まらず表見代理にまで及ぶの? 」と感じることでどうも解せなかったのですが、それはそれであくまでも本人と代理人の問題で、取引の善意無過失の相手方からすると本来関係ないことと。

ちなみにですが、どうも私の使っている参考書やネットでもなかなか表見代理の解説で、表見代理が成り立つ要素までの解説で終わっているのですが、この質問の場合で、本人は後に代理人を訴えることはできますよね(それが認められるかどうかは置いておいて)? 

代理制度というのはそれだけ任命責任が伴う、という重要性を改めて感じた次第です。
そしてもう一つ、薮蛇で蛇足ながら。詐称の場合の善意の第三者や、表見代理の有用性を逆手に取った悪巧みを思いつく輩の排出防止のための法的な補足がないものかなと考えてしまいます。

※顕名については私が書き間違えていました。「顕名していたら」と書いたつもりでした、すみません。
2025.05.23 18:04
たけしさん
(No.6)
ちょうど代理のところの復習をしていて、気になり横から失礼しますが、顕名について。

この顕名は、仮に本人が「この人は自分の代理人です」と相手方に告げた場合、顕名ということになるんでしょうか?あくまでも代理人からじゃなきゃならないのでしょうか?(初学者、免除無し組)
2025.05.23 20:12
タラさん
(No.7)
たけしたさん、こんばんは。
なかなか意表を突いた問いですね^^;
私は教えを乞う立場ながら、質問の投稿主として一緒に考えますと、顕名はご存知の通り、代理の仕組みが有効に成り立つために、契約の前に「私は本人何某の代理人何某です」と契約の相手方に対して明示することなので、本人さんが相手方に対し、「この人は自分の代理人何某です」ことは単に相手方に対し告げた、という解釈になるのではないでしょうか? 代理においての顕名とまでは言えないかなと。ただ、このことで相手側は、本人は誰々、代理人は誰々と知ることができると。
ちょっと自信無いですし、私に問われたわけでもないかもで恐縮です。
2025.05.23 20:56
タラさん
(No.8)
たけしたさんじゃなくて、たけしさんでした。
お詫びして訂正します。
2025.05.23 20:58
宅建女子さん
(No.9)
>この顕名は、仮に本人が「この人は自分の代理人です」と相手方に告げた場合、顕名ということになるんでしょうか?あくまでも代理人からじゃなきゃならないのでしょうか

これは100条のケースになると思います。
勉強嫌いの行政書士さんのコメントから引用させていただきます。

>第100条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。


※前条第1項の規定というのは、代理人の行為は本人に帰属する規定です。
2025.05.24 11:21
ヤスさん
(No.10)
宅建女子さんのコメントに恐縮ですが、補足します。

宅建女子さんの言うように、100条但書のケースとも捉えられるし、また109条1項も使えるかなと思います。
同じく勉強嫌いの行政書士さんのコメントから109条1項を引用させていただきます。

(代理権授与の表示による表見代理等)
第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2025.05.24 11:52
勉強嫌いの行政書士さん
(No.11)
>たけしさん
>宅建女子さん
>ヤスさん

補足です。

>この顕名は、仮に本人が「この人は自分の代理人です」と相手方に告げた場合、
>顕名ということになるんでしょうか?
>あくまでも代理人からじゃなきゃならないのでしょうか

この場合、顕名に該当します。

以下の状況によって、適用条文が変化します。
・代理権を実際に付与しているか?付与していないか?
・代理権の範囲外か?
・代理権消滅後か?

付与している場合(代理権範囲内)
100条→本人に効果帰属

付与している場合(代理権範囲外)
110条→本人に効果帰属

付与していた場合(代理権消滅後)
112条→本人に効果帰属

付与していない場合
109条→本人に効果帰属
2025.05.24 21:25
たけしさん
(No.12)
宅建女子さん、ヤスさん、勉強嫌いの行政書士さん、根拠となる、関係する条文を参考に導かれたご回答をありがとうございます。よく分かりました。

また、質問主さんもこの場をお借りしたこと及び質問への共有に感謝します。

自分の質問「顕名とは、仮に本人が『この人は自分の代理人です』と相手方に告げた場合、顕名ということになるんでしょうか?」

答え「顕名ということになる」

根拠「民法第100条・民法第110条、民法第112条.民法第109条」※前提としての民法第99条

代理権の範囲内外、代理権が消滅した後、代理権が発生していない場合のそれぞれにより、根拠とする適用条文はそれぞれ異なってくるが、いずれにしても、顕名ということになる。

代理の勉強をしている中でのふとした疑問でしたが、いろいろ調べてもはっきり顕名と言えるのか分からなかったので、質問して良かったです。ありがとうございまさち。
2025.05.24 22:32
タラさん
(No.13)
たけしさん。
答えがお分かりになって良かったですね。
「顕名とはまでは言えないのでは」の私の無知なコメントをお詫びします。

この質問スレを読み返しますと、私はそもそも大変失礼な質問をしてしまったと謝罪と反省です。民法に規定されていることに対し、「大げさではないでしょうか?」などと、穴があったら入りたい…。
重ねて、肢イの「本人の名において」が、顕名に当たるか当たらないか、しっかり把握できていなかったこと。また、書き間違えの上に、「顕名していたら」とすっとこどっこいなことをお聞きしてしまったこと(本来の代理行為が成り立つ)。等々、結局無権代理・表見代理はもちろん代理自体どころか民法全体まだよくしっかり把握できていなかったと改めて気づき、勉強し直しです。学生時代に、恩師が「知には誠実さを伴ってほしい」とよくおっしゃってたことを思い出したもいたしました。

また、今回の質問をしてお答えを頂きながら、特に民法分野においては、それぞれ関連する条文を見てみる癖を自分も付けようと思った次第です。それぞれの答えはどの条文からそうと言えるのか。過去問道場には答えに根拠となる条文が挙げられていて有難いです。

ところで、恥の上塗りになるのを覚悟して考えるのですが、No5のコメントに「本人は後に代理人を訴えられますよね?」などと、素っ頓狂なことをお聞きしていたのですが、民法で考えるとこの場合(肢イの延長上)、代理人が本人の名のもとに、偽って契約したことは民法709条がで適用でき、本人は損害賠償請求できると考えるのは間違っているでしょうか?
2025.05.25 06:51
タラさん
(No.14)
本人は無権代理人に対し、損害賠償請求ができるか、です。
2025.05.25 06:56
勉強嫌いの行政書士さん
(No.15)
私の推測です。
正しいかは、わかりません。

>本人から代理人に対して、損賠ができるか?
損賠の提訴は可能です。
損賠には、2種類の損賠があります。(415条根拠/709条以下根拠)

宅建レベルではないため、立証責任(民法・民訴)、要件事実(民訴)になるので割愛します。

立証責任は、以下の通りになる。
109条→709条:本人
110条→415条:代理人
112条→709条:本人

よって、立証責任の転換によって、110条の場合は、給付判決を得られる可能性が高いが、
109条、112条の場合は、給付判決を得るのは難しいと感じる。
2025.05.25 17:00
勉強嫌いの行政書士さん
(No.16)
この投稿は投稿者により削除されました。(2025.05.25 18:02)
2025.05.25 17:15
勉強嫌いの行政書士さん
(No.17)
No.11について、訂正と補足です。

顕名とは、簡単に説明すると
相手方に対して、代理契約することを通知する行為です。
相手方に本人及び代理人がだれかを認識すれば足りる。

適用条文を間違えていました。
付与している場合(代理権範囲内)
誤)100条→本人に効果帰属
正)100条→99条→本人に効果帰属

(代理行為の要件及び効果)
第99条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2025.05.25 18:03
タラさん
(No.18)
勉強嫌いの行政書士さん、ありがとうございます。

本人から無権代理人に対する賠償提訴は可能である。
ご説明上で民事訴訟法も含まれるということで、宅建レベルを超えての説明を恐縮でした。
以下、推測として、表見代理の規定別により、立証責任は民法415条(債務不履行による損害賠償)、民法第709条(不法行為による損害賠償)が根拠となり、うち、①表見代理規定民法第109条(代理権授与の表示による表見代理等)、及び②民法第112条(代理権消滅後の表見代理等)は「第709条」が、表見代理規定③民法第110条(権限外の行為の表見代理)は第415条が適用すると考えられ、その中で給付判決が得られると推測できるのは③の場合である。
延長線上の推測ではありますが、大変勉強になりました。
2025.05.26 00:20
タラさん
(No.19)
勉強嫌いの行政書士さん、顕名についての追加のコメント(No.17)もありがとうございました。
2025.05.26 00:27

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