平成8年問13と平成15年問13の借地権の対抗要件に関する矛

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
宅地太郎さん
(No.1)
【質問本文】
宅建試験の過去問について質問です。

平成8年問13と平成15年問13の借地借家法に関する問題を見比べたところ、以下の点で矛盾しているように感じています。

【平成8年問13】
•借地権者が登記をしていない建物を所有していたが、その建物が火災で焼失。
•借地権者が本件土地上に建物を再築する旨の掲示をしたとしても、登記がなかったために借地権を第三者に対抗できないとされ、これが正解とされています(=掲示による対抗には「登記が前提」と明示されています)。

平成15年問13
•借地権者が借地権の登記をしていないと明記されている中で、建物が滅失した場合に、「建物を再築する旨を土地上に掲示した」ことによって、2年間は第三者に対抗できるという記述が「正解」とされています。

【質問の趣旨】
上記の2問において、登記がない建物が滅失した場合の対抗要件について、結論が真逆のように見えます。
私は、借地借家法第10条第2項および判例(最判昭47.6.22)などから、「掲示による暫定的対抗力は、登記があった建物が滅失した場合に限られる」という理解でおり、平成15年の問題の正解には疑問を感じています。
•この理解は正しいのでしょうか?
•また、平成15年問13の正解とされている選択肢は、出題ミスの可能性があるのでしょうか?

ご教示いただけますと幸いです。
2025.04.22 10:05
宅建女子さん
(No.2)
借地の登記をしなくても賃借人が建物の登記をすれば対抗力を備えることができます。

まず、問題文比較しましょう。


★H8の問題文

前提となる問題(抜粋)
『建物の所有を目的としてBから土地を貸借し、建物を建築して所有しているが、その土地の借地権については登記をしていない。』

肢3
『乙建物が火事により滅失した場合、建物を新たに築造する旨を本件土地の上の見やすい場所に掲示していれば、Bは、本件建物について登記していなかったときでも、借地権をCに対抗することができる。』

借地権の登記も建物の登記もしてないですね。
だから対抗力がありません。


★H15の問題文

『乙建物が滅失した場合でも、Bが借地借家法に規定する事項を甲地の上の見やすい場所に掲示したときは、Bは、甲地に賃借権の登記をしていなくても、滅失のあった日から2年間は、甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し、甲地の賃借権を対抗できる。』

こちらも借地の登記はしていないと書いてありますが『借地借家法に規定する事項を〜掲示した』と書いてあります。

借地借家法に規定する事項とは何かと言うと、宅地太郎さんがご認識されているとおり、借地借家法10条2項のことです。

ここまではよろしいですかね。
では2項にはどう書いてあるのか?
こちらです↓

第10条2項
前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者がその建物を特定するために必要な事項、(〜中略〜)掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。(以下略)
---

『前項の場合において』
『なお同項の効力を有する』
これらの言葉から、2項の効力には『前項』を満たしているという前提が当然あると考えられます。

で、前項はどうなっているかと言うと、
こちらです↓

1項
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

---

つまり2項は建物の登記がされている前提があってこそ成り立つ話です。

問題文の『借地借家法に規定する事項』という言い方で、建物登記があり滅失の掲示をしたと解釈できます。
2025.04.22 16:01
ウイトゲンシュタインさん
(No.3)
面白い良い質問と回答と思いました。
前提条件無く、看板建ててもだめという事でしょうね。
これ同じ設問の中で出題したら、良問とは言えない気もしますが。
2025.04.22 17:55
宅地太郎さん
(No.4)
宅建女子さん

ご丁寧にご回答ありがとうございました
よくわかりました
登記がなくても借地借家法の観点から対抗できるということですね

このくらいの記載だと深読みしすぎてしまうこともあるのですが、出題方法のパターンとして覚えておこうと思います

ありがとうございました
2025.04.23 15:00
宅地太郎さん
(No.5)
ウイトゲンシュタインさん

ありがとうございます
そうですよね
本番で出たら結構迷う気がします笑
2025.04.23 15:01

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