不法行為に始まる留置権

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
あいさん
(No.1)
 質問させて下さい。
 不法行為によって始まった留置権は成立しない、という件なのですが、テキストに
「例えば泥棒が、自分が盗んだ物を修理に出すように、占有自体が不法行為によって始まった場合には、泥棒に留置権を認めるのは公平とはいえず、留置権は成立しません」と載っていますが、よくわからないです。
 物を占有するのは、修理屋さんなので、せっかく修理したのにそれが盗品だから留置権が発生せず、修理代金を泥棒に払ってもらえないまま、その修理した物を泥棒に返さなくてはいけなくなるんじゃないかと思ったのですが、私の理解がたぶん違うのはわかるんですが、テキストに書いてあることがわかりません…。

 教えていただけると嬉しいです。
2025.03.16 17:12
モサドさん
(No.2)
そこから先は民法709条「故意または過失で他人の権利利益を侵害した者は損害賠償責任を負う」になるのでは?
後は全然関係無いですが刑事事件も問われるはずです。
2025.03.16 17:45
yuebingさん
(No.3)
昨年から、勉強を始めた者です。

>「例えば泥棒が、自分が盗んだ物を修理に出すように、占有自体が不法行為によって始まった場合には、泥棒に留置権を認めるのは公平とはいえず、留置権は成立しません」

この文章だけですと、「修理屋さんに対しての留置権」なのか、「(修理屋さんへの修理費用が支払われていないことに基づく)盗品の元の所有者に対しての留置権」なのかが判断しづらいのですが、「泥棒に留置権を認めるのは…」とありますので、何となく後者のような気がいたします。
仮に前者だとすると、(修理費用が払われていないことに基づく)留置権が成立するのは泥棒の側ではなく、修理屋さんのほうだと思いますので、「泥棒に留置権を認めるのは…」とは書かないように思います。
2025.03.16 18:04
あいさん
(No.4)
 モサドさん、yuebing さん、返信ありがとうございます。

 この文章の前半は、普通に留置権の説明が載っています。
 ちなみにこの後の文章は、賃貸人が債務不履行で賃貸借契約を解除された後に、賃借人が建物を占有して修繕費を出してもそれを理由に留置権を行使できない、みたいな内容です。(わかって合格るの、95頁)

 後者の、泥棒が留置権を持つ、持たないのシチュエーションがよくわからないなと思いました。元所有者から盗んでそれを修理に出して代金を支払って、元所有者が泥棒を見つけて、「僕から盗んだ物を返して」と言った時に泥棒は、「俺の立て替えた修理代を君が俺に払ったら返してやるよ」とは言えない、ということですかね…。
2025.03.16 18:49
yuebingさん
(No.5)
> 元所有者から盗んでそれを修理に出して代金を支払って、元所有者が泥棒を見つけて、「僕から盗んだ物を返して」と言った時に泥棒は、「俺の立て替えた修理代を君が俺に払ったら返してやるよ」とは言えない、ということ

私がイメージしているのは、まさにこのようなシチュエーションです。
私が本件について検索したときに発見したウェブサイトには、

> 車泥棒が、盗品の車に入れたガソリン代の費用償還請求権を理由に、(元々の車の所有者に対し)留置権を主張することはできません。

といった例が記載されていました。


また、「不法行為によって始まった…」というシチュエーションを、よりイメージしやすかった例としましては、

> 車の修理を依頼した人が、後日修理代を支払うことを約束して、修理された車を持ち帰った。しかしながら、修理代を支払うのを失念してしまった。修理屋さんが怒って、その車をプロの技を使って持ち去ってしまった。修理依頼者は「車を返せ」と主張したが、修理屋さんは「留置権を行使する。修理代を支払うまで車は返さない」と主張した。

上記の場合、修理屋さんの占有は不法行為(上記の場合は窃盗)によって始まったものなので、留置権は認められない、というものがありました。
2025.03.16 19:29
名無しまさんさん
(No.6)
yuebingさんのご指摘の通り、この文章からは少し解釈が分かれる部分があります。
文脈において、「泥棒に留置権を認めるのは…」という表現が使われているので、文章が示しているのは「盗品の元の所有者に対しての留置権」に関するものだと思われます。

後者の「泥棒が留置権を持つ、持たない」というシチュエーションについて考察します。
まず、留置権の基本的な理論として、他人の物を占有している者が、その物に関して行った修理や価値の増加に対して対価を支払ってもらうまで物を返さない権利が認められます。たとえば、質問事例の修理屋さんが修理代金を未払いのまま物を占有している場合、その物を返さないことができます。

しかし、泥棒が他人の物を盗んだ場合、占有は不法行為によって始まっています。そのため、泥棒は物の正当な所有者ではなく、その占有を「合法的な理由」で維持することができません。泥棒が修理代を立て替えたとしても、その行為が占有を正当化するわけではないのです。

実際のシナリオでは、もし泥棒が修理をしても、元の所有者が泥棒に対して「自分の物を返せ」と要求した場合、泥棒は「修理代を支払え」と返すことができません。
なぜなら、泥棒は物の合法的な所有者ではないからです。修理代を支払ったことが、泥棒にその物を返さない権利を与えるわけではないというのが法律的な立場です。
要するに、泥棒がその物を占有していること自体が不正であり、たとえ修理を行ったとしても、その占有に基づく留置権は認められません。

つまり、この場合の「泥棒に留置権を認めることは公平ではない」という立場は、泥棒が不法に占有を始めた以上、その占有を正当化することはできない、ということを示しています。
泥棒が「修理代を支払ったから物を返さない」と主張することは、法律上不当であり、物の元の所有者にはその物を取り戻す権利が優先されるということです。
2025.03.16 19:41
名無しまさんさん
(No.7)
追伸
仮に留置権が事例の修理屋さんにあるなしのシチュエーションであっても、結局、占有が泥棒による不法行為によって始まっている以上、留置権は成立しないという理屈で、定番出題箇所ではないのであまり深入りしないで捉えておくのでよいかもしれません。
2025.03.16 20:12
あいさん
(No.8)
 yuebingさん、名無しまさんさん、返信いただきありがとうございます。
 ガソリン代の請求の具体例、よくわかりました。私は検索しても探し出せなかったです。ありがとうございます。
 不法行為したのに、留置権なんかあるわけないだろ、と覚えます!
 スッキリしました。
 お二人とも親切にありがとうございました。
2025.03.16 21:59
勉強嫌い行政書士さん
(No.9)
テキストに書かれている例が悪いですね。

賃貸契約終了後に必要費が発生した場合がわかりやすいと思う。

例えば
①賃貸借終了後に雨漏りした。
②借主は、業者に修理依頼し代金を支払った。
③借主は、修理代金の請求を貸主に請求した。

③の時点で貸主に対して留置権が成立するか?
この場合、①の不法行為によって、②の債権が貸主に債権が発生したため、
③の時点で留置権は発生しない。

これに似た効果がある同時履行の抗弁権も比較して覚えるとわかりやすいと思います。
2025.03.17 09:48
勉強嫌い行政書士さん
(No.10)
補足です。

②の時点で法定代位により留置権も移転するかって問題もありますが・・・

②が未払いの場合、3パターンの留置権はどうなるでしょうか?
1.業者→過去の賃借人
2.業者→賃貸人
3.過去の賃借人→賃貸人

併せて、賃貸借終了前に、②が発生し、未払いの場合、3パターンの留置権はどうなるでしょうか?
1.業者→賃借人
2.業者→賃貸人
3.賃借人→賃貸人
2025.03.17 09:58
あいさん
(No.11)
 勉強嫌い行政書士さん、解説いただきありがとうございます。
 家賃払わなくて契約解除後、必要経費を払ってもその物件に居座ることはできないという話ですね。
 せっかく説明していただきまさしたが、補足のところがよく理解できませんでした。また後日読み直します。
 ありがとうございました。
2025.03.17 17:44

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