令和3年10月問13の3敷地利用権の分離について  

ほままさん
(No.1)
令和3年10月問13の3について質問させてください。

『敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、規約に別段の定めがあるときを除いて、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。』
答えは○で正解です。

区分所有法22条1項の条文は以下です。
『敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用検とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りではない。』

そして、解説には『区分所有者は、敷地利用権を1人で有している時や、規約で、別段の定めがあるときを除き、その有する専有部分とその専有部分に関わる敷地利用権と分離して処分することができません』

とあるのですが、この解説の中の【敷地利用権を1人で所有している時や、】ここが質問の対象部分なのです。

『【規約に別段の定めがあるとき】だけでなく、【敷地利用権を1人で所有している時】も分離処分できる』
という解釈で正しいですか?

条文を読むと冒頭に【敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、】と
書かれているので管理人さんの解説が正しいと思いたいのですが、

参考書や他のサイトを調べてみても『【規約に別段の定めがあるとき】に分離処分できる』としか書かれていません。

ここから抜け出せずにいます。
長くなってすみませんが、ご教授よろしくお願いします。
2024.03.11 09:24
nekoさん
(No.2)
結論から言うと、敷地利用権が単独で有する所有権であっても原則専有部分と分離しては処分できないのではないかと思います。

22条第1項だけみると、数人で有する所有権となっているので単独の場合はこれに該当しないので分離処分OKのように思えます。
第2項、第3項において
2  前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3  前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。
とあるように、一人の人がマンションの複数の部屋(専有部分)を所有している場合や全部の部屋を一人で所有している場合も、その一人の人が有している敷地利用権にも専有部分の面積按分による割合があって、第1項と同じで原則それぞれが別々には処分できないということがかかれていると思います。

ほままさんがモヤモヤしているのは良くわかります。管理人さんがあえて「一人で有しているとき」とか書かれると私もモヤモヤします。わたしもそこまでのシチュエーションを考えたことありませんでした。
管理人さんどうか教えてください。よろしくお願いいたします。
2024.03.11 15:59
管理人
(No.3)
区分所有建物の敷地利用権は、3つの形態に分けられます。

(1) 複数の区分所有者が敷地利用権を共有・準共有している場合(一般的な分譲マンション)
(2) 区分所有建物の全部を1人が所有し、かつ敷地利用権もその1人が所有している場合(分譲前のデベロッパー)
(3) テラスハウス(長屋)などのように、土地が専有部分ごとに分筆され、専有部分の所有者がその敷地の利用権を単独で有している場合(分有されている場合)

22条1項が(1)に対応し、22条3項が(2)に対応しています。解説中で「敷地利用権を1人で所有している時」としているのは(3)に対応します。(3)のケースは、一戸建て住宅とそれほど変わらないので、専有部分と敷地利用権の一体化の原則の対象外とされていると認識しております。
2024.03.11 19:26
nekoさん
(No.4)
管理人さん
教えていただきありがとうございます🙏
テラスハウスだと建物は繋がって建っていてひとつなんだけど敷地は明確に分けられていそうなので、専有部分と敷地利用権を別々に処分しても混乱は起きそうないですね。
テラスハウスの例とかは宅建試験の参考書では扱わない程度のレアケースですからね。新築のテラスハウスって最近見かけないですしね。
なるほどです。こういうケースがあったんですね。モヤモヤが晴れました😄
2024.03.11 21:15
ほままさん
(No.5)
nekoさん、管理人さん
ご丁寧な回答をありがとうございます!
おかげさまでモヤモヤが晴れました。

深いですね、
これは1人では絶対に辿り着けませんでした。
大変助かりました。
ありがとうございました。
2024.03.11 23:23
キリさん
(No.6)
すでに解決されているようですが、一部誤解があるようなので補足します。

分離処分の可否の決め手となるのは、「敷地権設定登記」です。

敷地権設定登記がなされている区分建物は、敷地となっている土地の所有者が一人であったり、規約で別段を定めをしていても、敷地権設定登記を抹消しなければ分離処分はできません。
(正確にいうと、確かに”契約はできる”のですが、登記ができません。実務上は登記できなければ取引されません。)
(ここで言う処分とは、移転のみならず、移転仮登記の本登記、担保権の設定、差押え、仮差押えの登記等を含んでいます)

尚、法律行為又は登記申請の日が、敷地権設定登記の前か後かによって、
できる登記とできない登記があり、これは不動産登記法の中でも難易度の高く複雑な分野です。

当然、登記手続きに関する内容も契約の特約条項に入れるべきなので、実務で敷地権付区分建物を取り扱う場合は必ず司法書士に確認してください。
2024.03.13 13:13
ほままさん
(No.7)
キリさん、
更なる深掘りをありがとうございます。

難しいですね。

1『分離処分の可否の決め手となるのは、「敷地権設定登記」』
であり、

2『実務上は登記できなければ取引されません。』
ということは、
取引されている=登記されているということであり、

3『敷地権設定登記がなされている区分建物は、敷地となっている土地の所有者が一人であったり、規約で別段を定めをしていても、敷地権設定登記を抹消しなければ分離処分はできません。』

これら1〜3を合わせて鑑みると

提示した  この問題文は以下のように
【敷地権設定登記が抹消され、尚且つ、】の文言が入って初めて正解となる?
          ↓
『敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、
【敷地権設定登記が抹消され、尚且つ、】規約に別段の定めがあるときを除いて、
区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを
分離して処分することができない。』

という理解をしました。
せっかくご教授いただいたところ、
見当違いでしたら  すみません。
ありがとうございました。
2024.03.14 17:57
一昨年合格者さん
(No.8)
「敷地利用権」と「敷地権」はちょっと違います。

「敷地利用権」は区分所有者が土地を使える権利そのもの、「敷地権」は「登記された敷地利用権」のことです。
「敷地権」は分離処分できません。
(細いこと言うと、敷地権になる前の抵当権とか仮登記とかはそのまま付いててOKとかあるけど、ややこしいのでここでは考えなくていい)
もう一度いいますけど、「敷地権」は分離処分できない。


問についてですが、

『敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、規約に別段の定めがあるときを除いて、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。』

これは「敷地権利用権」の話です。
「敷地利用権」には「規約の定めがあるとき除く」の例外があるということ、このままで正しい。

一方、

>敷地権設定登記がなされている区分建物は、敷地となっている土地の所有者が一人であったり、規約で別段を定めをしていても、敷地権設定登記を抹消しなければ分離処分はできません。

これは「敷地利用権」が「敷地権」として登記されてるときの話です。
登記されちゃったから例外は通用しないので抹消する必要があるということです。
抹消されてることが例外なのではありません。
2024.03.15 00:35
ほままさん
(No.9)
一昨年合格者さん
ありがとうございます。

「敷地利用権」は区分所有者が土地を使える権利そのもの、
「敷地権」は「登記された敷地利用権」
とのこと。

一昨年合格者さんのスレッドを読み返して思ったことは、
私は
『〜できる権利』の『〜権』と
『〜できる権利』を登記し、対抗できるように仕上げた『〜権』とを
意識して捉えていなかった気がします。

例えるとしたら
「敷地利用権」  は
「建物の所有を目的とする土地の賃借権」

「敷地権」は
「登記された土地の賃借権」

みたいな感じでしょうか、
全くの見当違いでしたら、すみません。

一つのことをこれだけじっくり
考えることが無かったので
今後意識するきっかけになりました。ありがとうございました。
2024.03.15 19:07

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