契約不適合と抵当権

88さん
(No.1)
平成17年問9
これの問3です

買主が、抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。

抵当権が設定されていることが契約内容となっていない場合には、買主が抵当権の設定につき悪意であったとしても、売主は契約不適合責任を負います。

問題分どこにも抵当権が契約内容となっていないとはかかれていないのに、誤りなのがよくわかりません。
むしろ抵当権の設定が悪意というのは、知っていてこの不動産を買ってるので、契約内容と思わないと思うのですが…

この問題は何を聞かれてるんでしょうか。
抵当権に対して買主悪意でも、抵当権が実行されたら売主が損害賠償を負うなら、売るのもリスクですよね…

問題も解説もよくわかりません。
助けてください。
2023.09.01 20:00
通りすがりさん
(No.2)
この問題は、解除・損害賠償ができるかを一般的な観点ではなく、このケースを法律に当てはめたらどうなりますか?を聞いています。

正解は導けると思います。
該当する肢は、権利の契約不適合に該当し、565条が該当します。
565条は、562~564までを準用し、売主に対して追完請求・減額請求・解除・損害賠償請求できます。

>  むしろ抵当権の設定が悪意というのは、知っていてこの不動産を買ってるので、
>  契約内容と思わないと思うのですが…
私は、そうは思いません。
抵当権付き不動産の購入者は、抵当権が抹消されることを期待します。

もし、抵当権付き不動産の購入で抵当権が実行されたときに、解除・損害賠償ができないとどうなると思いますか?
国内の不動産の大半が抵当権付き不動産です。
それが売却できなければ、自己破産者が急増し経済が破綻する未来しか思い浮かびません。
それに、抵当権消滅請求・代価弁済の手段もあります。

>  抵当権に対して買主悪意でも、抵当権が実行されたら売主が損害賠償を負うなら、
>  売るのもリスクですよね…
リスクという意味が分かりません。
売主は、抵当権実行により、経済的な利益を受けますが、
買主は、抵当権実行により、経済的な損害を受けます。
売主が受けた利益は、買主に還元されなければいけません。
それが損害賠償になるわけです。

ある行為に対して、一方から見たらプラス作用でも、
他方から見たらマイナス作用になります。
そのバランスをとるのが法律になります。
2023.09.01 21:21
88さん
(No.3)
通りすがりさん
丁寧なご回答ありがとうございます。

>抵当権付き不動産の購入者は、抵当権が抹消されることを期待します。
抵当権は抹消されることが契約に適合してて
抵当権が実行されることは契約不適合になると決まっていると考えればいいんですね。

そもそも売買契約締結後に抵当権実行されるなら買主が返済しっかりしてなくて悪い人だった可能性もあるなと思い、そんな人が売主に今更損害賠償請求できるのも変な話だなとか思ったりもしますが、、もうあんまり理解できないので、これ以上考えるのやめようと思います、、!

>売主が受けた利益は、買主に還元されなければいけません。
それが損害賠償になるわけです。
この部分は理解できました、ありがとうございます。


権利関係難しい
2023.09.01 22:25
臨時講師さん
(No.4)
88さん

抵当権が付いている不動産を売買し、その後に抵当権実行により買主が不動産の所有権を全部失った場合は、
もはや565条の権利についての契約不適合責任ではなく、一般の債務不履行責任のみが問題となり、
解除と損害賠償請求だけが可能です。

なぜならば、一度は履行したものの抵当権の実行により買主は所有権全部を失ったことにより、結局、債務者である売主が所有権移転義務を全く果たすことができなかったと評価されるからです。
よって契約時の抵当権の存在についての善意悪意や契約内容に含まれていたかは問題となりません。

これに対し、抵当権が付いた不動産を売買して、まだ抵当権が実行されていない段階であれば、
565条の契約不適合責任の問題であり、抵当権が付いていることがあらかじめ契約内容に含まれているかどうかによりその責任の有無が決まります。

買主が抵当権が付いていることにつき善意なら当然、悪意であっても履行時までに抵当権を抹消する契約内容になっていれば、抵当権が付いている不動産を引き渡せば契約不適合責任を負います。
逆に、あまりないでしょうが、大幅に代金を値下げするなどを条件に、抵当権付きで売買する内容になっていれば、抵当権付きで引き渡したとしても契約不適合責任は負いません。

本問の肢3の解説は、契約不適合責任を負うという説明がされているので、変更された方がいいと思われます。
2023.09.01 23:13
88さん
(No.5)
臨時講師さん

3回ぐらい読んで理解できた気がします。

>一般の債務不履行責任のみが問題となり、
解除と損害賠償請求だけが可能です。

問題文だと契約不適合だなと気付けないと思ってとてもモヤモヤしてたので
似たような問題がでても、抵当権が実行されたら臨時講師さんのこの解説と結びつけらたら回答できる気がしました。

後半の契約不適合責任となる場合の解説も丁寧にしていただきありがとうございます。
読み込んで理解できたら、なんとわかりやすい文なんだろうと感動しました。
ありがとうございました。
2023.09.02 06:21
管理人
(No.6)
臨時講師さん

貴重なご高説をありがとうございます。ご投稿を踏まえ、H17-9肢3については、問題文と解説を以下のように調整させていただきました。

肢3
買主が、契約の内容となっていない抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。

解説
誤り。買主は損害賠償請求をすることもできます。購入する不動産に契約内容となっていない抵当権が存在していた場合、抵当権実行前であれば契約不適合責任を追及することになります(民法565条)。その後、抵当権が実行され所有権を失った場合には、契約の引渡し義務が履行されなかったと評価されるため、一般の債務不履行責任に準じて処理されます。債務不履行があった場合には契約解除することができますし、相手方に帰責事由があれば損害賠償請求をすることもできます。
2023.09.04 16:23
臨時講師さん
(No.7)
管理人様

ご対応ありがとうございます。
管理人様の訂正された解説で間違いありません。

本肢に関して改めて調べて、先の私見を補足すると、契約の内容に適合しない抵当権が存在する場合に、抵当権が実行されて所有権を失った場合は全部履行不能となり、追完請求・代金減額請求の余地はありません。
しかし、この場合でも全く565条が不適用となるわけではなく、正確にいうと、
契約の内容に適合しない抵当権実行により所有権を失ったときは、565条の契約不適合責任が適用されるが、565条が準用する前3条の権利のうち、履行不能の性質上、562条の追完請求と563条の代金減額請求は認められず、564条に定める一般的な債務不履行の損害賠償請求(415条)と解除(542条)のみが認められる、というややこしい説明になります。
2023.09.05 00:17

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