宅建試験過去問題 令和7年試験 問14

問14

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 登記官は、一筆の土地の一部が別の地目となったときであっても、職権でその土地の分筆の登記をすることができない。
  2. 登記事項証明書の交付の請求は、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。
  3. 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
  4. 建物の合併の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

正解 1

問題難易度
肢161.0%
肢23.7%
肢310.4%
肢424.9%

解説

  1. [誤り]。1つの土地に対して複数の地目を割り当てることはできませんから、一筆の土地の一部が別の地目となった場合、分筆登記の対象となります。登記官は、所有者から分筆の登記の申請がなかった場合でも、不動産の現状を公示するという不動産登記制度の目的を果たすため、職権で当該土地の分筆の登記をしなければなりません(不動産登記法39条2項)。
    登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
    登記官は、一筆の土地の一部が別の地目となったときであっても、職権で当該土地の分筆の登記をすることはできない。R1-14-3
  2. 正しい。登記事項証明書は、登記所に対し書面で交付請求するほか、電子情報処理組織(インターネット)を使用してオンラインで交付の請求をすることができます。具体的には、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」が受付窓口になっています。受取り方法は、郵送か登記所の窓口のどちらかを選べます(不動産登記規則194条3項)。
    登記事項証明書の交付の請求は、前二項の方法のほか、法務大臣の定めるところにより、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。この場合において、登記事項証明書を登記所で受領しようとするときは、その旨を請求情報の内容としなければならない。
  3. 正しい。権利に関する登記は、登記権利者(権利を得る者)及び登記義務者(権利を失う者・権利を制限される者)が共同して申請することが原則です(不動産登記法60条)。例外として単独申請できるのは、登記を命じる確定判決、相続その他一般承継、信託の登記、登記義務者の承諾がある場合の仮登記などです。
    権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
    遺贈(相続人に対する遺贈を除く)を登記原因とする所有権の移転の登記は、遺言執行者が指定されているか否かにかかわらず、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。H19-16-4
    権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。H18-15-1
  4. 正しい。合併の登記とは、別々の登記記録である数個の建物を、物理的な変更なしに登記上1個の建物とするための登記です。建物の分割・区分・合併の登記は、登記上の所有者でなければ申請することができません。官庁・公署の嘱託又は登記官が職権でこれを行うことも禁止されます(区分所有法54条1項)。
    次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
    一 建物の分割の登記
    二 建物の区分の登記
    三 建物の合併の登記
したがって誤っている記述は[1]です。