宅建試験過去問題 令和7年試験 問13

問13

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 共用部分は、原則として区分所有者全員の共有に属するが、規約で別段の定めをすることを妨げず、管理者であっても、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
  2. 共用部分の持分の割合について、各共有者の共用部分の持分は、規約で別段の定めをしない限り、その有する専有部分の床面積の割合による。
  3. 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならず、当該議事録には議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならないとされているが、当該議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者全員がこれに署名しなければならない。
  4. 区分所有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

正解 3

問題難易度
肢111.1%
肢28.9%
肢373.7%
肢46.3%

解説

  1. 正しい。共用部分は区分所有者全員の共有に属しますが、規約に定めることによって、区分所有法上の管理者を共用部分の所有者とすることができます。これを「管理所有」といいます(区分所有法27条1項)。
    管理者は保存行為、集会の決議を実行すること、規約で定めた行為をすることができますが、その他の行為を行うには集会の決議によらなければなりません。管理者を所有者として定めておけば、その共用部分については所有権に基づき管理者が単独で管理行為を行うことができるため円滑です。なお、実際に所有権の移転登記が行われるわけではありません。
    管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
    共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが、規約に特別の定めがあるときは、管理者を共用部分の所有者と定めることもできる。R3⑫-13-3
    管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。R2⑫-13-2
  2. 正しい。共用部分の持分割合は、原則として、各共有者が有する専有部分の床面積の割合によります。この床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積(内法面積)を基準とします(区分所有法14条1項・3項)。
    各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

    3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
    各共有者の共用部分の持分は、規約に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分の床面積の割合によるが、この床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積である。R3⑩-13-4
    規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者の共用部分の持分は、その有する専有部分の壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積の割合による。H23-13-2
  3. [誤り]。全員の署名は不要です。集会が実施された場合、議長は、議事の経過の要領とその結果を記載した議事録を書面又は電磁的記録で作成します。議事録には、記載内容の正確性を担保するため、議長及び集会に出席した区分所有者の2人(合計3人)が署名(電磁的記録の場合は電子署名)する必要があります(区分所有法42条1~3項)。
    集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
    2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
    3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名しなければならない。
  4. 正しい。区分所有建物は1棟の建物を複数の人で共同利用するという性質があるため、各区分所有者は建物の保存・管理・使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはいけません(区分所有法6条1項)。共同の利益に違反した者に対しては、行為の停止、結果の除去、行為の予防を求めることができます(区分所有法57条1項)。さらに、行為停止等の請求だけでは解決が困難であるときは、使用禁止の請求、区分所有権の競売、占有者に対する引渡しの訴訟手続きが用意されています。
    区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
    区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
したがって誤っている記述は[3]です。