宅建試験過去問題 令和3年12月試験 問11

問11

次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  1. 借地権の存続期間を契約で30年と定めた場合には、当事者が借地契約を更新する際、その期間を更新の日から30年以下に定めることはできない。
  2. 借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が契約の更新を請求したとき、その土地上に建物が存在する限り、借地権設定者は異議を述べることができない。
  3. 借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地のみである。
  4. 借地権設定者は、弁済期の到来した最後の3年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。

正解 3

問題難易度
肢113.1%
肢215.6%
肢347.3%
肢424.0%

解説

  1. 誤り。借地権を更新する際の存続期間は、1回目の更新では20年以上、2回目以降の更新では10年以上としなければなりません(借地借家法4条)。よって、当初の存続期間が30年であったとしても、更新の際に30年以下とすることは可能です。
    当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
    AとBとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。R2⑩-11-4
    借地権の当初の存続期間が満了し借地契約を更新する場合において、当事者間でその期間を更新の日から10年と定めたときは、その定めは効力を生じず、更新後の存続期間は更新の日から20年となる。H21-11-4
  2. 誤り。正当な事由があれば異議を述べることができます。借地権の存続期間が満了し、借地上に建物があったとしても、借地権設定者が正当な事由をもって異議を述べれば、借地権者からの更新請求を拒絶することができます(借地借家法5条1項)。
    借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
    本件契約がBの居住のための建物を所有する目的であり契約の更新がない旨を定めていない契約であって、期間満了する場合において甲土地上に建物があり、Bが契約の更新を請求したとしても、Aが遅滞なく異議を述べ、その異議に更新を拒絶する正当な事由があると認められる場合は、本件契約は更新されない。R5-11-4
  3. [正しい]。借地権の対抗力は、当該借地上の建物の登記に敷地として記載されている土地についてのみ生じます(最判昭44.12.13)。例えば、借地権者がa番地、b番地の2つの土地を建物所有の目的で賃借していたとしても、建物がa番地にのみ建っているときは、b番地の敷地については第三者に借地権を対抗できないということです。これは第三者が登記を見た場合に、どの範囲の土地貸借権につき対抗力が生じているのか知り得るものでなければならないという理由からです。
    建物保護に関する法律一条は、登記した建物をもつて土地賃借権の登記に代用する趣旨であり、当該建物の登記に所在の地番として記載されている土地についてのみ、同条による賃借権の対抗力を生ずる。
  4. 誤り。3年分ではありません。借地権設定者は、弁済期の到来した最後の2年分の地代等について、借地上の建物について先取特権を有します(借地借家法12条1項)。
    借地権設定者は、弁済期の到来した最後の二年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。
したがって正しい記述は[3]です。