宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問14

問14

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 表題部所有者が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者について相続があったときは、その相続人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
  2. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、分筆の登記をすることができない。
  3. 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
  4. 登記の申請書の閲覧は、請求人に正当な理由があると認められる部分に限り、することができる。

正解 2

問題難易度
肢17.7%
肢231.2%
肢316.9%
肢444.2%

解説

  1. 正しい。不動産の所有者について相続や合併等の一般承継があった場合には、相続人その他の一般承継人は、被承継者がすべきだった表示に関する登記を申請することができます(不動産登記法30条)。不動産に変更や滅失があった後に、表示に関する登記をしないまま死亡してしまった場合には、相続人等が代わってその登記を申請できる旨の規定です。
    表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
    所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。H25-14-1
  2. [誤り]。土地の分筆に関しては、法律上の制限は特にありません。したがって、所有権の登記以外の権利がある土地でも分筆の登記をすることができます。例えば、抵当権が登記されている土地を分筆すると、共同抵当となり、1つの債務につき2筆の土地が担保となるだけです。
    一方、合筆に関しては、所有権の登記以外の権利がある土地は原則としてすることができません(不動産登記法41条)。例えば、抵当権が登記されている土地を合筆すると、土地の一部分に抵当権の効力が及ぶことになってしまいます。一物一権の原則により、土地の一部分に対する権利が存在することは認められません。
    所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記は、することができない。R1-14-2
    所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記は、することができない。H23-14-1
    二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、持分が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。H20-16-3
    二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、地目が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。H20-16-4
  3. 正しい。区分建物の登記は、その建物一棟全体の登記記録(表題部のみ)と専有部分ごとの登記記録から成ります。本肢は条文のままなので非常にわかりづらいですが、「区分建物が属する一棟の建物」が建物全体で、「区分建物」が各専有部分に対応します。マンション等の一棟の表題登記をするデベロッパー等は、それと併せて各専有部分の表題登記も申請しているということです(不動産登記法48条1項)。
    区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
  4. 正しい。提出された登記の申請書および添付書面その他の登記簿の附属書類は、登記所の帳簿に保存されています。このうち、一定の図面に関しては誰でも閲覧を請求できます。しかし、申請書を含む図面以外の部分については、正当な理由があると認められる部分に限り、閲覧を請求することができます(不動産登記法121条3項)。
    ※土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図の5つ
    何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第一項の図面を除き、電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。
    何人も、理由の有無にかかわらず、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類である申請書を閲覧することができる。R5-14-2
したがって誤っている記述は[2]です。