宅建試験過去問題 平成23年試験 問14

問14

不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記は、することができない。
  2. 権利の変更の登記又は更生の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
  3. 受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。
  4. 仮登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者が共同しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢19.3%
肢210.0%
肢317.9%
肢462.8%

解説

  1. 正しい。次に挙げる6つの土地について、合筆の登記をすることはできません(不動産登記法41条)。所有者の登記がある土地とない土地を合筆すると、一筆の土地の一部だけに所有権があるという状況が生じます。このような状況は登記記録で表すことができないため、合筆が認められていません。
    1. 相互に接続していない土地
    2. 地目又は地番区域が相互に異なる土地
    3. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
    4. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地
    5. 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地
    6. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地
    所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、分筆の登記をすることができない。R2⑫-14-2
    所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記は、することができない。R1-14-2
    二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、持分が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。H20-16-3
    二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、地目が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。H20-16-4
  2. 正しい。権利の登記についての変更や更生は、付記登記によって行われます。付記登記とは、既にされた権利の登記の同一性を保持したまま内容の変更を行う登記です。例えば、所有者の住所変更、抵当権の移転、賃料の増減、根抵当権の極度額の変更などが付記登記となります。付記登記は事後的に権利の内容を変更する行為ですから、登記上の利害関係を有する第三者(抵当権の債権額を変更する場合の後順位抵当権者など)がいる場合、その第三者の承諾が必要となります(不動産登記法66条)。
    権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
  3. 正しい。信託の登記は、基本的にはその信託財産の移転登記等の同時に受託者が行うことになっています。受託者が信託の登記を行わない場合には、信託財産であることを第三者に主張することができないので、受益者又は委託者は、受託者に代位して信託の登記を申請することが認められています(不動産登記法99条)。
    受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。
  4. [誤り]。仮登記の抹消で利益を受ける人(登記権利者)は仮登記の登記義務者、権利を失う人(登記義務者)は仮登記の登記名義人ということになります。仮登記の抹消も権利の登記なので共同申請が原則ですが、仮登記は順位保全のための予備的な登記ということもあり、権利を失う仮登記の登記名義人が申請する場合は単独で申請できることになっています(不動産登記法110条)。
    仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする。
    仮登記の抹消の申請は、申請書にその仮登記の登記識別情報を添付して、登記上の利害関係人が単独ですることができる。H16-15-3
    仮登記の抹消の申請は、申請書に仮登記名義人が作成した承諾を証する情報を添付して、登記上の利害関係人が単独ですることができる。H16-15-4
したがって誤っている記述は[4]です。