宅建試験過去問題 平成24年試験 問10

問10

Aは未婚で子供がなく、父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和5年3月末日に死亡している。AにはBとCの実子である兄Dがいて、DはEと婚姻して実子Fがいたが、Dは令和6年3月末日に死亡している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  1. Bが死亡した場合の法定相続分は、Aが2分の1、Eが4分の1、Fが4分の1である。
  2. Bが死亡した場合、甲建物につき法定相続分を有するFは、甲建物を1人で占有しているAに対して、当然に甲建物の明渡しを請求することができる。
  3. Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが4分の3、Fが4分の1である。
  4. Bが死亡した後、Aがすべての財産を第三者Gに遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合、FはGに対して遺留分を主張することができない。

正解 4

問題難易度
肢114.3%
肢211.6%
肢316.7%
肢457.4%

解説

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  1. 誤り。本問の場合、AはBの子であるため相続が可能です。また、FはDを代襲相続することができます。しかし、EにはDの配偶者という地位しかないため法定相続分はありません。よって、Eが相続分を有している時点で本肢は誤りです。

    本肢のケースにおける法定相続人と法定相続分の組合せは次の通りです。
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  2. 誤り。Aも法定相続人ですから、遺産分割までは甲建物はA及びFの共有物ということになります(民法898条)。よって、Fは当然に甲建物の明渡しを請求することはできません(最判昭41.5.19)。
    相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
    共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
    相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。R5-1-2
  3. 誤り。Aには配偶者がいないため、第二順位の相続人であるBが全財産を相続することになります(民法889条1項)。
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    次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
    一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
    二 被相続人の兄弟姉妹
  4. [正しい]。AとDは兄弟姉妹関係に当たります。兄弟姉妹には遺留分はないため、Aの兄Dの代襲相続人であるFにも遺留分は認められません(民法1028条)。
    兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
    配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれない。R2⑩-14-4
したがって正しい記述は[4]です。