宅建試験過去問題 平成23年試験 問15

問15

国土利用計画法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「事後届出」とは、法第23条に規定する都道府県知事への届出をいう。
  1. 都道府県知事は、法第24条第1項の規定による勧告に基づき当該土地の利用目的が変更された場合において、必要があると認めるときは、当該土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の措置を講じなければならない。
  2. 都道府県知事が、監視区域の指定について土地利用審査会の確認を受けられなかったときは、その旨を公告しなければならない。なお、監視区域の指定は、当該公告があったときは、その指定の時にさかのぼって、その効力を失う。
  3. Aが、市街化区域において、2,500平方メートルの工場建設用地を確保するため、そのうち、1,500平方メートルをB社から購入し、残りの1,000平方メートルはC社から贈与で取得した。この場合、Aは、事後届出を行う必要はない。
  4. Dが所有する市街化調整区域内の土地5,000平方メートルとEが所有する都市計画区域外の土地12,000平方メートルを交換した場合、D及びEは事後届出を行う必要はない。

正解 3

問題難易度
肢121.1%
肢212.4%
肢362.3%
肢44.2%

解説

  1. 誤り。当該土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の措置を講ずることは努力義務(講ずるよう努めなければならない)です(国土利用計画法27条)。よって「講じなければならない」とする本肢の記述は誤りです。
    都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告に基づき当該土地の利用目的が変更された場合において、必要があると認めるときは、当該土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の措置を講ずるよう努めなければならない。
  2. 誤り。規制区域の指定については、土地利用審査会の確認を受けられなかった場合、その旨を公告する必要がありますが、監視区域についてはこのような規定はありません。また、監視区域の指定において都道府県知事が行わなくてはならないことは、「土地利用審査会及び関係市町村長の意見を聴く」ことであって確認を受けることではありません(国土利用計画法27条の6第2項)。
    都道府県知事は、監視区域を指定しようとする場合には、あらかじめ、土地利用審査会及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。
  3. [正しい]。事後届出の対象となるのは以下の三条件を満たす土地取引です。
    1. 権利の設定、権利の移動があること(権利性)
    2. 対価の授受があること(対価性)
    3. 契約によって行われること(契約性)
    まず、贈与による取得の場合には、対価の授受が生じないため対価性の点で土地売買等の契約には該当しません。よって、C社から取得した土地についての事後届出は不要です。
    またB社から取得した土地についても、届出対象面積(市街化区域では2,000㎡以上)に達していないため、届出は不要です(国土利用計画法23条2項1号イ)。
    宅地建物取引業者Aが所有する市街化区域内の1,500平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。H20-17-1
  4. 誤り。交換は、権利の移動であるため権利性を満たします。市街化調整区域内の土地5,000㎡と、都市計画区域外の土地12,000㎡はどちらも届出対象面積ですので、D及びEは事後届出を行う必要があります。
したがって正しい記述は[3]です。