宅建試験過去問題 平成19年試験 問12

問12

AがBに対して1,000万円の貸金債権を有していたところ、Bが相続人C及びDを残して死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. Cが単純承認を希望し、Dが限定承認を希望した場合には、相続の開始を知った時から3か月以内に、Cは単純承認を、Dは限定承認をしなければならない。
  2. C及びDが相続開始の事実を知りながら、Bが所有していた財産の一部を売却した場合には、C及びDは相続の単純承認をしたものとみなされる。
  3. C及びDが単純承認をした場合には、法律上当然に分割されたAに対する債務を相続分に応じてそれぞれが承継する。
  4. C及びDが相続放棄をした場合であっても、AはBの相続財産管理人の選任を請求することによって、Bに対する貸金債権の回収を図ることが可能となることがある。

正解 1

問題難易度
肢174.2%
肢26.1%
肢310.1%
肢49.6%

解説

  1. [誤り]。限定承認は、共同相続人全員が共同して行わなければなりません(民法923条)。よって、Dのみが限定承認を選択することはできません。
    相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
  2. 正しい。相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合は、それをもって単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。
    次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
    一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
  3. 正しい。各共同相続人は、相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します(民法899条)。権利義務には被相続人が有していた債務も含まれますので、CとDは、Aに対する債務を相続分に従って承継することとなります。
    各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
  4. 正しい。相続人全員が相続放棄をした場合など相続人が明らかでないときには、利害関係者は、家庭裁判所に相続財産の清算人を選任するよう請求することができます。相続財産の清算人が被相続人の財産を配分することで、債権者は債権の回収をすることができます(民法952条)。
    前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
したがって誤っている記述は[1]です。