宅建試験過去問題 平成29年試験 問6
問6
Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。- ①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。
- Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。
- 遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。
- Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。
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正解 3
問題難易度
肢112.8%
肢225.4%
肢350.2%
肢411.6%
肢225.4%
肢350.2%
肢411.6%
分野
科目:1 - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- 誤り。①の場合、配偶者と子がそれぞれ1/2ずつ相続することになります(民法900条1号)。そして②のケースでは、配偶者がいないため子2人が法定相続人となり、相続財産を1/2ずつ分け合います(民法900条4号)。よって、2つのケースにおけるBの相続分は等しくなります。
子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
- 誤り。相続人となるべき人が相続開始以前に死亡した場合は、死亡した者の子が代襲相続します。しかし、本ケースでは、死亡後に相続が発生しているので代襲相続は発生せず、Bの配偶者Dと子EがBの共同相続人として遺産分割協議に参加します(民法887条2項)。
- Aの死亡前にBが死亡
- 本来相続人となるべきBが、被相続人Aの相続開始前に死亡しているので、Bの相続分は、Bの子Eに単独で代襲相続される
- Aの死亡後にBが死亡
- 被相続人AからBへの相続が行われた後、Bが死亡したと考えるので、Bの財産(相続分)はその法定相続人である配偶者Dと子Eに共同相続される
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
- [正しい]。判例によると、賃料債権は相続開始と同時に、それそれの相続人が相続分に応じて分割することになります(最判平17.9.8)。よって、Bが取得した場合でも、Cがすでに受領した賃料債権を清算する必要はありません。
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
- 誤り。限定承認は、相続人全員で行う必要があります。また、1人が限定承認を申し出た場合でも、全員が限定承認をするとみなされることはありません(民法923条)。
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
※限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務を相続する方式です。
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