監督処分・罰則(全18問中14問目)

No.14

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
平成20年試験 問45
  1. Aの専任の宅地建物取引士が事務禁止処分を受けた場合において、Aの責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、Aに対して指示処分をすることができる。
  2. 甲県知事は、Aの事務所の所在地を確知できないときは、直ちにAの免許を取り消すことができる。
  3. Aが宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。
  4. 甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢171.2%
肢26.8%
肢312.0%
肢410.0%

解説

  1. [正しい]。宅地建物取引士が事務禁止処分などの監督処分を受けた場合で、その処分が宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由がある時は、宅地建物取引業者に対しても指示処分をすることができます(宅建業法65条1項4号)。
    宅地建物取引士が、第六十八条又は第六十八条の二第一項の規定による処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるとき。
    Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。R3⑫-28-ウ
    宅地建物取引士が都道府県知事から指示処分を受けた場合において、宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)の責めに帰すべき理由があるときは、国土交通大臣は、当該宅地建物取引業者に対して指示処分をすることができる。H30-32-1
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合、Aは、甲県知事から法に基づく指示処分を受けることがある。H29-29-1
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法に違反した場合に限り、監督処分の対象となる。H23-44-3
    Aが、乙県内で行う建物の売買に関し、取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは、Aは、甲県知事から指示処分を受けることはあるが、乙県知事から指示処分を受けることはない。H19-36-2
    Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関し、建築基準法の規定に違反したとして罰金刑に処せられた場合、甲県知事は、Aに対して必要な指示をすることができる。H18-45-4
    Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが、脱税し、所得税法に違反したとして罰金刑に処せられた場合、Aは指示処分を受けることがある。H14-39-4
    Aの宅地建物取引士が、乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に、宅地建物取引士としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき、乙県知事は、Aに対しても指示の処分をすることがある。H12-43-3
  2. 誤り。宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、免許権者がその旨を公告する必要があります。その公告の日から30日経過後も宅地建物取引業者から申出がない場合は、免許を取り消すことが可能です(宅建業法67条1項)。本肢は「直ちにAの免許を取り消すことができる」としているため誤りです。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないとき、又はその免許を受けた宅地建物取引業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいう。)を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
    国土交通大臣は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)の事務所の所在地を確知できない場合、その旨を官報及び乙県の公報で公告し、その公告の日から30日を経過してもBから申出がないときは、Bの免許を取り消すことができる。H29-29-2
    宅地建物取引業者C(甲県知事免許)の事務所の所在地を確知できないため、甲県知事は確知できない旨を公告した。この場合、その公告の日から30日以内にCから申出がなければ、甲県知事は法第67条第1項により免許を取り消すことができる。H26-44-ウ
  3. 誤り。宅地建物取引業者が業務停止処分に違反した場合、免許取消処分の対象となります。単に指示処分に従わないことのみを理由とする免許取消しはできません(宅建業法65条2項3号)。
    Aは、自らが売主となった分譲マンションの売買において、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。H28-26-1
    Aは、甲県知事から指示処分を受けたが、その指示処分に従わなかった。この場合、甲県知事は、Aに対し、1年を超える期間を定めて、業務停止を命ずることができる。H28-26-3
    Aが、宅地建物取引業者Dと共同で媒介を行う場合、35条書面にAが調査して記入した内容に誤りがあったときは、Aだけでなく、Dも業務停止処分を受けることがある。H19-40-4
    Aが、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合でも、甲県知事は、Aに対し業務停止の処分をすることはできない。H18-45-2
    宅地建物取引士Gは、取引士証の有効期間内に更新をせず、有効期間の満了日から2週間後に取引士証の交付を受けた。その2週間の間にGに重要事項説明を行わせた宅地建物取引業者Hは業務停止処分を受けることがある。H16-34-4
  4. 誤り。宅地建物取引業者に対して業務停止処分や免許取消処分をした都道府県知事は、その内容を公告する必要があります。ただし、指示処分である場合にはその必要がありません(宅建業法70条1項)。
    土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条第二項若しくは第四項、第六十六条又は第六十七条の二第一項若しくは第二項の規定による処分をしたときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
    都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。R5-41-4
    甲県知事は、宅地建物取引業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報により公告しなければならない。H24-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。H22-44-4
したがって正しい記述は[1]です。