報酬関連(全25問中18問目)

No.18

宅地建物取引業者(消費税課税事業者)の媒介により建物の賃貸借契約が成立した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税相当額を含まないものとする。
平成22年試験 問42
  1. 依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、国土交通大臣が定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
  3. 宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.10月分の報酬を受領することはできない。
  4. 宅地建物取引業者が居住用建物以外の建物の貸借の媒介を行う場合において、権利金の授受があるときは、当該宅地建物取引業者が受領できる報酬額は、借賃の1.10月分又は権利金の額を売買代金とみなして算出した金額のいずれか低い方の額を上限としなければならない。

正解 3

問題難易度
肢114.7%
肢29.2%
肢366.9%
肢49.2%

解説

  1. 誤り。宅建業法に基づく国土交通大臣の報酬告示は、あくまでも報酬の限度額を定めているものです(宅建業法46条1項)。したがって、報酬額の定めがなかったとしても、必ずしも報酬限度額を支払う必要があるわけではありません。
    宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
    宅地建物取引業者が媒介する物件の売買について、売主があらかじめ受取額を定め、実際の売却額との差額を当該宅地建物取引業者が受け取る場合は、媒介に係る報酬の限度額の適用を受けない。H28-33-ア
  2. 誤り。好意で支払う謝金であっても報酬の一部とみなされるので、その額を合わせて限度額を超えることはできません(宅建業法46条1項・2項)。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額、依頼者の依頼によって行う物件調査の費用に限り、法定の限度額とは別に受領することが認められています(報酬告示9)。
    宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。R2⑫-34-1
    宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けることH13-45-エ
  3. [正しい]。居住用建物の貸借の媒介に関して依頼者の一方から受領できる金額は、媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ている場合を除き、「借賃1月分+消費税」の2分の1以内となります(報酬告示4)。借主から承諾を得ていれば、借主から「借賃1ヶ月分+消費税」、貸主から0円 の配分で報酬を受け取ることもできますが、借主から承諾を得ていないときには双方から2分の1ずつ受け取ることになります。
    Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。R4-27-2
    Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。R4-27-3
    建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。R3⑫-31-ア
    宅地建物取引業者が、事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。R2⑫-34-3
    Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。R2⑩-30-2
    Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。R2⑩-30-4
  4. 誤り。居住用建物以外の貸借の媒介で権利金の授受がある場合、「賃料1月分+消費税」または「権利金の額を売買代金として計算した報酬額」のいずれか高い方を報酬限度額とすることが認められています(報酬告示6)
    建物が店舗用である場合、Aは、B及びCの承諾を得たときは、B及びCの双方からそれぞれ11万円の報酬を受けることができる。H30-30-1
    建物が居住用である場合、Aが受け取ることができる報酬の額は、CからBに支払われる権利金の額を売買に係る代金の額とみなして算出される16万5,000円が上限となる。H30-30-2
    居住用の建物の貸借の媒介に係る報酬の額は、借賃の1月分の1.10倍に相当する額以内であるが、権利金の授受がある場合は、当該権利金の額を売買に係る代金の額とみなして算定することができる。H28-33-ウ
したがって正しい記述は[3]です。