宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問34(改題)

問34

宅地建物取引業者(消費税課税事業者)が受けることができる報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。
  2. 宅地建物取引業者は、その業務に関し、相手方に不当に高額の報酬を要求した場合、たとえ受領していなくても宅地建物取引業法違反となる。
  3. 宅地建物取引業者が、事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。長期の空家等には該当しない。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。
  4. 宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢14.2%
肢25.5%
肢314.4%
肢475.9%

解説

  1. 正しい。宅地建物取引業者は、国土交通大臣による報酬告示によって定められた額を超えて報酬を受け取ってはいけません。相手方から同意があってもダメです(宅建業法46条1項・2項)。
    宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
    2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
    依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。H22-42-1
    宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けることH13-45-エ
  2. 正しい。宅地建物取引業者が業務に関して不当に高額の報酬を要求する行為は禁止されています(宅建業法47条2号)。よって、要求した時点で宅建業法違反となります。
    宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

    二 不当に高額の報酬を要求する行為
    A社は、建物の売買の媒介に際して、売買契約の締結後、買主に対して不当に高額の報酬を要求したが、買主がこれを拒んだため、その要求を取り下げた。H23-41-エ
    建物の販売に際して、不当に高額の報酬を要求したが、実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取った。H18-40-2
  3. 正しい。権利金の授受がない貸借における報酬額の上限は「借賃1月分+消費税」です。居住用建物の貸借では、媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、依頼者の一方から受ける金額は「借賃0.5月分+消費税相当額」までとなりますが、本肢のように事業用建物の場合はそのような制限がありません。よって、当事者双方からどのような割合で受け取っても問題ありません。
  4. [誤り]。広告費用のうち本来の報酬額とは別に受け取ることができるのは、依頼者の依頼によって行う広告の料金に限られます。依頼者の依頼によらない広告の料金は、宅地建物取引業者の負担となり、報酬額に含めることはできません(解釈運用-告示第九関係)。
    宅地建物取引業者は、告示第二から第八までの規定によるほかは依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除き報酬を受けることはできない。
    したがって、告示第二から第八までの規定による報酬及び依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額以外にいわゆる案内料、申込料や依頼者の依頼によらずに行う広告の料金に相当する額の報酬を受領することはできない。
したがって誤っている記述は[4]です。