8種制限(全76問中1問目)

No.1

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金を支払ったBが、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフにより、当該売買契約を契約締結の日の翌日に解除しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和6年試験 問30
  1. Aがクーリング・オフについて告げるときに交付すべき書面には、Aの商号又は名称及び住所並びに免許証番号の記載は必要であるが、Aの宅地建物取引士の記名は必要ない。
  2. Bが、自らの申出により、Bの勤務する会社の事務所において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。
  3. Bが、自らの申出により、喫茶店において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができる。
  4. Bは、自らの申出により、Bが融資を受ける銀行(宅地建物取引業者ではない。)において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。

正解 4

問題難易度
肢112.3%
肢210.5%
肢316.3%
肢460.9%

解説

  1. 正しい。クーリング・オフについて告げる書面には、当事者を特定するための情報として、売主業者の商号又は名称・住所・免許証番号、買主の氏名・住所が記載されます。宅地建物取引士の氏名は記載されません(宅建業法規則16条の6)。
    5/24.png/image-size:449×285
    告知書面には、A及びBの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。R3⑩-39-4
    クーリング・オフについて告げる書面には、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。H30-37-エ
    Aについては、その商号又は名称及び住所並びに免許証番号、Bについては、その氏名(法人の場合、その商号又は名称)及び住所が記載されていなければならない。H28-44-1
    Bは、クーリング・オフについて告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリング・オフによる契約の解除を行うことができることが記載されていなければならない。H28-44-2
    クーリング・オフによる契約の解除は、Bが当該契約の解除を行う旨を記載した書面を発した時にその効力を生ずることが記載されていなければならない。H28-44-3
    Bがクーリング・オフによる契約の解除を行った場合、Aは、それに伴う損害賠償又は違約金の支払をBに請求することができないこと、また、売買契約の締結に際し、手付金その他の金銭が支払われているときは、遅滞なくその全額をBに返還することが記載されていなければならない。H28-44-4
    AがBに対し、売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭でのみ説明を行った場合、当該宅地の引渡しを受けていなければ、当該告知から何日を経過していても、Bは契約の解除が可能である。H16-42-2
    宅地建物取引業者でない買主Eから売買契約の解除があった場合で、この契約の解除が法的要件を満たし、かつ、Aが手付金を受領しているとき、Aは契約に要した費用を手付金から控除して返還することができる。H14-45-4
  2. 正しい。買主が自らその自宅又は勤務先を申し出て、その場所で買受けの申込みや売買契約をした場合、クーリング・オフの適用がありません(宅建業法規則16条の5第2号)。この2つの場面は、購入の意思決定が正常で安定した状況の下でなされたとみなされるためです。したがって、Bはクーリング・オフできません。
    売主業者の申出により、買受けの申込みをした者の勤務先で売買契約を行った場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことはできない。R4-38-3
    宅地建物取引業者が、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を、案内所を設置して行う場合で、その案内所が専任の宅地建物取引士を置くべき場所に該当しない場合は、当該案内所には、クーリング・オフ制度の適用がある旨を表示した標識を掲げなければならない。H26-41-1
    買主Bは自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Bは、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。H20-39-1
    宅地建物取引業者でない買主Bは、建物の物件の説明を自宅で受ける申し出を行い、自宅でこの説明を受け、即座に買受けを申し込んだ。後日、勤務先の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合、Bは売買契約の解除はできない。H14-45-1
    Aが、電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て、Bの勤務先を訪問し、そこで売買契約を締結した場合は、Bは、当該売買契約を解除することができない。H12-41-2
  3. 正しい。喫茶店はクーリング・オフの適用がある場所です。買主自らがその場所を指定した場合でも適用の可否は変わりません。また、解除しようとしているのは契約締結日の翌日であり、クーリング・オフ可能な期間内です。したがって、喫茶店で買受けの申込みを行ったBはクーリング・オフできます。
  4. [誤り]。融資を受ける銀行はクーリング・オフの適用がある場所です。買主自らがその場所を指定した場合でも適用の可否は変わりません。また、解除しようとしているのは契約締結日の翌日であり、クーリング・オフ可能な期間内です。したがって、融資を受ける銀行で買受けの申込みを行ったBはクーリング・オフできます。
したがって誤っている記述は[4]です。