農地法(全26問中20問目)

No.20

農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成18年試験 問25
  1. 山林を開墾し現に水田として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。
  2. 農業者が、住宅を建設するために法第4条第1項の許可を受けた農地をその後住宅建設の工事着工前に宅地として売却する場合、改めて法第5条第1項の許可を受ける必要はない。
  3. 耕作目的で農地の売買契約を締結し、代金の支払をした場合でも、法第3条第1項の許可を受けていなければその所有権の移転の効力は生じない。
  4. 農業者が、自ら農業用倉庫として利用する目的で自己の所有する農地を転用する場合には、転用する農地の面積の規模にかかわらず、法第4条第1項の許可を受ける必要がある。

正解 3

問題難易度
肢15.9%
肢28.1%
肢375.1%
肢410.9%

解説

  1. 誤り。農地法上の農地であるか否かは現況で判断されます。登記簿上の地目が山林であっても、現に水田として耕作されている場合は農地に当てはまります(農地法2条1項)。
    この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
    登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。R3⑫-21-3
    山林を開墾し、農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地に該当しない。R2⑫-21-1
    雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。H30-22-4
    雑種地を開墾し、現に畑として耕作されている土地であっても、土地登記簿上の地目が雑種地である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。H25-21-2
    現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が原野である市街化調整区域内の土地を駐車場にするために取得する場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。H20-24-1
    現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が「山林」である土地を住宅建設の目的で取得する場合には、農地法第5条の許可を要しない。H13-23-1
  2. 誤り。本肢は「住宅建設の工事着工に宅地として売却する場合」と記述されています。農地法の農地であるかどうかは現況によって判断されるので、宅地という名目で売却する場合でも現況が農地なら農地法の規制対象となります。よって、転用目的の権利移動がある場合には4条許可では足りず、改めて5条許可を受ける必要があります。
  3. [正しい]。3条許可または5条許可が必要な農地の権利移動について、これらの許可を受けずに契約を締結した場合、その契約の効力は生じません(農地法3条6項農地法5条3項)。売買契約は成立していますが、所有権移転の効力が生じるのは許可を受けた時点になるということです。
    第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
    法第3条第1項又は法第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。R5-21-3
    法第3条第1項の許可が必要な農地の売買については、この許可を受けずに売買契約を締結しても所有権移転の効力は生じない。R2⑩-21-1
    法第3条第1項又は法第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。H28-22-3
  4. 誤り。耕作者自ら2アール未満の農地を農業用施設に転用する場合は4条許可を受ける必要はありません(農地法規則29条1号)。本肢は「面積の規模にかかわらず、…許可を受ける必要がある」としているため誤りです。
    耕作の事業を行う者がその農地をその者の耕作の事業に供する他の農地の保全若しくは利用の増進のため又はその農地(二アール未満のものに限る。)をその者の農作物の育成若しくは養畜の事業のための農業用施設に供する場合
    自己の所有する面積4アールの農地を農作物の育成又は養畜の事業のための農業用施設に転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。R5-21-2
    土地区画整理法に基づく土地区画整理事業により道路を建設するために、農地を転用しようとする者は、法第4条第1項の許可を受けなければならない。H21-22-1
したがって正しい記述は[3]です。