都市計画法(全60問中33問目)

No.33

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。
平成21年試験 問16
  1. 市街地開発事業の施行地区内においては、非常災害のために必要な応急措置として行う建築物の建築であっても、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  2. 風致地区内における建築物の建築については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
  3. 工作物の建設を行おうとする場合は、地区整備計画が定められている地区計画の区域であっても、行為の種類、場所等の届出が必要となることはない。
  4. 都市計画事業においては、土地収用法における事業の認定の告示をもって、都市計画事業の認可又は承認の告示とみなしている。

正解 2

問題難易度
肢18.3%
肢274.8%
肢37.2%
肢49.7%

解説

  1. 誤り。市街地開発事業の施行地区内で建築物の建築をするときには都道府県知事の許可を受けるのが原則です。しかし、非常災害のために必要な応急処置として行う行為のほか、都市計画事業の施行として行う行為や軽易な行為は都道府県知事の許可を受ける必要はありません(都市計画法53条1項2号)。
    都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

    二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
    都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。H29-16-ア
    都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者であっても、当該建築行為が都市計画事業の施行として行う行為である場合には都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可は不要である。H25-15-1
    都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を都道府県知事に届け出なければならない。H20-18-1
    都市計画施設の区域内において建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事等の許可を受けなければならない。H12-18-1
    市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事等の許可を受けなければならない。H12-18-2
  2. [正しい]。風致地区は、都市における自然的要素を維持するために定める地区です。風致地区では、風致都市の風致を維持するために必要となる建築物等の建築、土地の形質の変更、木材の伐採等の行為に関する規制を、都道府県または市町村の条例で定めることになっています(都市計画法58条1項)。
    風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
    風致地区内における建築物の建築については、一定の基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。H30-16-2
    風致地区は、市街地の美観を維持するため定める地区であり、地区内における建築物の建築や宅地の造成、木竹の伐採などの行為については地方公共団体の規則で規制することができる。H14-18-4
  3. 誤り。地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行おうとする者は、一定の事項を市町村長に届け出る必要があります(都市計画法58条の2第1項、都市計画法令38条の4)。
    地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
    地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行った者は、一定の行為を除き、当該行為の完了した日から30日以内に、行為の種類、場所等を市町村長に届けなければならない。H24-16-4
    地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後、遅滞なく、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を市町村長に届け出なければならない。H19-18-3
  4. 誤り。土地収用法に基づいて土地等を収用する事業の施行者は、事業遂行能力や事業計画、土地使用の公益性などについて国土交通大臣または都道府県知事から事業の認定を受けることになっています。都市計画事業は公益性が高く、審査のプロセスや関係者間の調整を経て認可又は承認されます。このように計画の合理性は十分に具備されることから、都市計画事業の認可又は承認をもって、土地収用法における事業認定とみなすこととし、事業者が同じような手続きを二重でする手間を省いています(都市計画法70条1項)。
    都市計画事業については、土地収用法第二十条(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定は行なわず、第五十九条の規定による認可又は承認をもつてこれに代えるものとし、第六十二条第一項の規定による告示をもつて同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示とみなす。
    都市計画事業については、土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示をもって、都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の告示とみなすことができる。H18-18-3
したがって正しい記述は[2]です。