宅建試験過去問題 平成24年試験 問16

問16

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において、非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の建築であれば、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受ける必要はない。
  2. 都市計画の決定又は変更の提案は、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地について所有権又は借地権を有している者以外は行うことができない。
  3. 市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。
  4. 地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行った者は、一定の行為を除き、当該行為の完了した日から30日以内に、行為の種類、場所等を市町村長に届けなければならない。

正解 1

問題難易度
肢178.0%
肢25.2%
肢39.2%
肢47.6%

解説

  1. [正しい]。市街地開発事業等予定区域は、今後、市街地開発事業を行う予定地域として都市計画に定められるものです。都市計画に市街地開発事業等予定区域を定めた場合には、その都市計画の告示から3年以内にその区域についての市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画を定め、さらにその都市計画の告示から2年以内に事業の認可又は承認の申請をすることになっています。
    このように、市街地開発事業等予定区域は将来事業に着手することが法律上義務付けられていますから、その障害となり得る建築物の建築等を防ぐため、原則として、市街地開発事業等予定区域内で建築物の建築等を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。ただし、①通常の管理行為や軽易な行為、②非常災害のため必要な応急措置として行う行為、③都市計画事業の施行として行う行為については例外的に許可が不要となります(都市計画法52条の2第1項2号)。
    市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において、土地の形質の変更を行い、又は建築物の建築その他工作物の建設を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

    二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
  2. 誤り。土地について所有権又は借地権を有している者以外であっても、一定のまちづくり会社やNPO法人等の都市計画協力団体は、都市計画の決定又は変更の提案が可能です(都市計画法21条の2第2項)。住民の意向を把握し、都市形成に強い関心と取組みを行う能力を併せ持つ団体と連携することにより、地域の実情を踏まえた質の高いまちづくりをする目的があります。
    まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項の特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人、都市再生機構、地方住宅供給公社若しくはまちづくりの推進に関し経験と知識を有するものとして国土交通省令で定める団体又はこれらに準ずるものとして地方公共団体の条例で定める団体は、前項に規定する土地の区域について、都道府県又は市町村に対し、都市計画の決定又は変更をすることを提案することができる。同項後段の規定は、この場合について準用する。
    都市計画の決定又は変更の提案をすることができるのは、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地の区域について、当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権を有する者に限られる。H19-18-4
  3. 誤り。市町村は、都市計画の決定について都道府県知事に協議をしなければなりません。しかし、同意を得る必要はありません(都市計画法19条3項)。かつては同意が必要でしたが市については2011年(平成23年)、町村については2020年(令和2年)に不要となっています。
    市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域について都市計画(都市計画区域について定めるものにあつては区域外都市施設に関するものを含み、地区計画等にあつては当該都市計画に定めようとする事項のうち政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項に限る。)を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
  4. 誤り。地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行おうとする者は、一定の行為を除き、当該行為の着手30日前までに、行為の種類、場所等を市町村長に届けなければなりません(都市計画法58条の2第1項)。
    地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
    工作物の建設を行おうとする場合は、地区整備計画が定められている地区計画の区域であっても、行為の種類、場所等の届出が必要となることはない。H21-16-3
    地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後、遅滞なく、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を市町村長に届け出なければならない。H19-18-3
したがって正しい記述は[1]です。