国土利用計画法(全24問中22問目)

No.22

国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)及び同法第27条の7の届出(以下この問において「事前届出」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。
平成14年試験 問16
  1. Aが所有する市街化区域内の面積3,000㎡の土地をBに売却する契約を締結するため事後届出を行う場合で、Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったとき、Bは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
  2. Cが所有する監視区域内の面積10haの土地をDに売却する契約を締結しようとして事前届出を行った場合で、届出の日から起算して2週間後に都道府県知事より勧告をしない旨の通知を受けたとき、C及びDはその届出に係る契約を締結することができる。
  3. Eが所有する都市計画区域外の面積5,000㎡の土地をFが賃借し、その対価として権利金を支払う契約がEF間で締結された場合、Fは契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。
  4. Gが行った事後届出に係る土地の利用目的について、都道府県知事が必要な変更をすべきことを勧告した場合で、Gがその勧告に従わなかったときは、その旨及びその勧告の内容を公表されることがある。

正解 3

問題難易度
肢112.8%
肢214.2%
肢359.7%
肢413.3%

解説

  1. 正しい。市街化区域内では2,000㎡以上の土地を売買契約等で取得する場合に、契約から2週間以内の事後届出が必要となります。この規定に違反した者は6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます(国土利用計画法47条)。
    本肢は、市街化区域内に所在する面積3,000㎡の土地ですから事後届出の対象であり、それを怠ったBには上記の罰則が適用されます。
    次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
    一 第二十三条第一項又は第二十九条第一項の規定に違反して、届出をしなかつた者
    事前届出又は事後届出が必要な土地について、売買契約を締結したにもかかわらず所定の期間内に当該届出をしなかった者は都道府県知事からの勧告を受けることがあるが、罰則の適用を受けることはない。R6-22-3
    事後届出が必要な土地売買等の契約を締結したにもかかわらず、所定の期間内に当該届出をしなかった者は、都道府県知事からの勧告を受けるが、罰則の適用はない。R3⑩-22-3
    事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。R2⑫-22-2
    事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合には、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。H19-17-3
    事後届出が必要な土地売買等の契約を締結したにもかかわらず、所定の期間内にこの届出をしなかった者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。H18-17-4
    監視区域内において国土利用計画法の規定に違反して必要な届出をせず、土地売買等の契約を締結した場合には、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。H13-16-3
  2. 正しい。事前届出を行った場合、その届出から6週間を経過するまでは当該土地の売買契約等をすることが禁止されます。しかし、6週間を経過するまでの間に、都道府県知事から勧告不要の通知を受け取った場合には、届出から6週間以内であっても契約することが可能です(国土利用計画法27条の4第3項国土利用計画法27条の5第3項)。
    よって、都道府県知事より勧告をしない旨の通知を受け取ったC・Dは、事前届出の日から2週間しか経過していなくても当該売買契約を締結できます。
    なお、事前届出は、注視区域・監視区域に所在する基準面積以上の土地を取得しようとするときに行う必要があります。監視区域の基準面積は、都道府県知事が規則で定めることになっていますが、事後届出の面積以下でなければならないので、10ha(100,000㎡)の土地は所在する場所に関係なく事前届出の対象となります。
    第一項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して六週間を経過する日までの間、その届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。ただし、次条第一項の規定による勧告又は同条第三項の規定による通知を受けた場合は、この限りでない。
    都道府県知事は、第一項の規定による勧告をする必要がないと認めたときは、遅滞なく、その旨を前条第一項の規定による届出をした者に通知しなければならない。
    監視区域に指定された市街化区域内に所在する土地2,500㎡について売買契約を締結しようとする当事者は、契約締結の少なくとも6週間前までに事前届出を行わなければならない。R6-22-4
  3. [誤り]。権利金の授受が伴う土地賃借権の設定は、契約性・対価性・権利性を充足する取引として事後届出の対象となります。しかし、都市計画区域外に所在する土地の場合、面積10,000㎡未満は届出不要とされています。Fが取得した土地は都市計画区域外で面積5,000㎡なので事後届出の対象外です。
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  4. 正しい。都道府県知事は事後届出をした者に対し、土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告できます(国土利用計画法24条1項)。届出をした者がこの勧告に従わないとき、都道府県知事は、従わなかった旨とその勧告の内容を公表することができます(国土利用計画法26条)。
    都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的に従つた土地利用が土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画(国土交通省令で定めるところにより、公表されているものに限る。)に適合せず、当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告することができる。
    都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
    都道府県知事は、事後届出に係る土地の利用目的及び対価の額について、届出をした宅地建物取引業者に対し勧告することができ、都道府県知事から勧告を受けた当該業者が勧告に従わなかった場合、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。R2⑫-22-1
    事後届出に係る土地の利用目的について、甲県知事から勧告を受けた宅地建物取引業Cは、甲県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。H22-15-2
    都道府県知事は、事後届出があった場合において、その届出書に記載された土地に関する権利の移転等の対価の額が土地に関する権利の相当な価額に照らし著しく適正を欠くときは、当該対価の額について必要な変更をすべきことを勧告することができる。H18-17-3
したがって誤っている記述は[3]です。