不動産登記法(全27問中15問目)
No.15
不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。平成24年試験 問14
- 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。
- 承役地についてする地役権の設定の登記は、要役地に所有権の登記がない場合においても、することができる。
- 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
- 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
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正解 2
問題難易度
肢116.2%
肢252.7%
肢313.6%
肢417.5%
肢252.7%
肢313.6%
肢417.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:17 - 不動産登記法
解説
- 正しい。委任契約による代理権は、本人の死亡によって消滅するのが民法の原則です(民法101条1項1号)。しかし、登記申請者本人が死亡した場合であっても、登記申請者の委任を受けた代理人(司法書士や土地家屋調査士などの資格代理人)の権限は消滅しないことになっています(不動産登記法17条1号)。委任者の相続人から再度委任を受ける手間を省き、一度開始した登記手続きを迅速に進めるためです。
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一 本人の死亡登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。(R3⑩-14-2)登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。(R1-14-4)代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。(H26-2-エ)法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。(H24-2-2)Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重大な過失がなければ、この契約は取り消すことができる。(H14-2-1)委任による登記申請の代理権は、本人の死亡によって消滅する。(H14-15-2) - [誤り]。地役権とは、契約の内容に従って、ある土地(要役地)のために他人の土地(承役地)を使うことができる権利です。地役権の登記は、要役地と承役地で相互参照できるように両土地の権利部乙区に記録されます。所有権の登記(甲区)がない場合には、乙区は存在し得ませんから、要役地に所有権の登記がない場合、地役権の設定登記はすることができません(不動産登記法80条3項)。判例では所有権の登記がない承役地についても地役権の設定の登記をすることはできないとしているので、地役権の登記には両方とも所有権の登記が必要ということになります。
要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
- 正しい。区分建物の表題登記の申請義務者は、原則としてデベロッパや分譲業者等などの原始取得者です。しかし、原始取得者が表題登記をしないまま死亡したり会社が合併消滅したりした場合には、その一般承継人が、原始取得者を表題部所有者とする表題登記を申請することができます(不動産登記法47条2項)。
区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。(R3⑫-14-4) - 正しい。所有権の移転の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則ですが、不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者(収用事業を行う者)が単独で申請することができます(不動産登記法118条1項)。収用の場合は、登記名義人の協力が得られないことが多いためです。
不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。
不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。(R6-14-2)
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