賃貸借契約の転貸と借地借家法の借家の転貸

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
あいさん
(No.1)
 質問させてください。
 民法の賃貸借契約で、①Aさん所有の家をBさんが賃借人し、BさんはCさんにその家を転貸している場合、AさんとBさんの間で賃貸借契約を合意解除したとしても、Aさんは転借人のCさんを追い出せない、とあります。
 また、借地借家法で、②Aさん所有の家をBさんが賃借し、BさんはCさんに転貸している場合、AB間の賃貸借契約が期間満了や解約申入れで終了する場合は、転借人を保護する観点から、賃貸人から転借人Cさんに対して通知をしないと、Cさんを追い出すことはできません、とあります。

 民法と借地借家法の使い分け?がよくわからないのですが、この①と②の場面設定はなにか違いがあるのでしょうか?
2025.03.29 06:48
勉強嫌い行政書士さん
(No.2)
>あいさん
この問題は、テキストを読めば、十分にわかる内容だと思います。
①と②は、そもそも適用するケースが異なります。

原則、賃貸借が終了したら、転貸借も終了する。
転貸借人が賃貸借契約の終了が想定内か想定外かの違いです。
①権原の契約期間内の終了(合意解除)を以て、転貸借が終了するか
②転貸借人が権原の契約期間の終了(満了)を以て、転貸借が終了するか
2025.03.29 10:52
あいさん
(No.3)

 ②の「解約申入れ」と①の「合意解除」の違いがよくわかりません。解約申入れは、想定内なのか想定外なのかテキスト読んでもわかりませんでした。
 説明ありがとうございました。
2025.03.29 11:44
クリオネさん
(No.4)
この投稿は投稿者により削除されました。(2025.03.29 17:56)
2025.03.29 12:00
勉強嫌い行政書士さん
(No.5)
>あいさん
「解約の申入れによって終了」とは、民法の「合意解除」と同じ意味です。
よって、①に該当します。
転貸借人は、転貸借契約の権原が解除されたことを了知することはできません。
民法は、賃貸借契約が合意解除したことをもって、(速やかに)退去は求められない。(但書あり)
借地借家法は、法定の手続きを踏めば、退去を求めることができる。(借地借家34条)

>クリオネさん
>合意解除は、契約当事者全員が同意して行うものです。
>契約終了が予見可能であり、転借人にとっても想定内の終了となります。
合意解除は、契約当事者全員が同意は正しいです。
賃貸借契約の当事者は、賃貸人と賃借人です。(601条)
よって、転貸借人は契約当事者ではありません。(601条反対解釈)

補足
転貸借契約の当事者も、転貸人と転借人です。(601条)
賃貸人は、転貸借契約の当事者ではありません。(601条反対解釈)
賃借人が債務不履行の場合は、賃貸人が転借人に債務履行を求める例外を置いています。(613条)

(契約の成立と方式)
第522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)
第34条 建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2 建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6月を経過することによって終了する。
2025.03.29 14:42
クリオネさん
(No.6)
勉強嫌い行政書士さん、フォローありがとうございます。m(__)m
2025.03.29 14:48
とみーさん
(No.7)
民法と借地借家法の使い分け…という点に関してですが、、

借地借家法は特別法であり、そもそも民法に優先するものであることから、「使い分ける」という状況にはならないものという認識でおりました。
揉めるとしたら論点は借地借家法の適用範疇かどうか…だと考えているのですが、これは間違った考え方でしょうか?

あいさんのご質問に乗っかってしまうことになり申し訳ありません。。
御存知の方がいらっしゃいましたらご教授ください。
2025.03.29 19:09
あいさん
(No.8)
 とみーさん、宅建掲示板【0920】に似たような質問が載ってるので、見てみたらどうでしょうか?
 合意解除、で検索すると出てきました。
 私では人に説明できないので、すみません。
 あと、2024.4.30日の投稿に、解除権と合意解除について管理人さんの説明があるのを見つけました。
 ただ、行政書士さんと説明内容がちょっと違う気がするのですが、私ではまだ理解できないのでよく読んでみます。
 クリオネさんも、ありがとうございます。
2025.03.29 20:17
管理人
(No.9)
合意解除と解約申入れでは次の違いがあります。

【合意解除】
契約期間中に当事者の意思の合致に基づいて契約関係を解消することです。

【解約申入れ】
期間の定めのない賃貸借や中途解約条項がある賃貸借において、契約解除を一方的に申し出ることです。賃貸物件を退去するときを考えていただければわかるように、この際相手の同意は必要ありません。
2025.03.29 20:31
宅建女子さん
(No.10)
借地借家法

・建物所有のための借地権、地上権
・建物の賃貸借

に適用されます。

但し、上記の場合でも借地借家法に定めがないことは民法を適用します。

合意解除の定めは借地借家法にはないので民法を適用してます。

それと、【合意解除】と【解約の申入れ】は似てるけど少し違うと思います。
クリオネさんの記載が正しかったかと思うけど、今見たら消えてますね💦
①合意解除はお互い合意の上での解除。
②解約申入れは賃貸人からの解約通知で正当な事由が必要。※相手と合意してるわけではない。

①はお互いが合意して解除するからAはBにすぐ退去してもらうことも可能です。
でもあくまでAB間の契約であり、Cには対抗できません。
なぜならCはCでBと適法に契約を結んだのですから、AB間の合意によって、自己の契約が反故になるのはおかしいからです。
但し債務不履行による解除であればその限りではないという例外規定があります。この場合、Cには通知する等して支払いの機会を与える必要もありません。

②は賃貸人が通知をすることで6月経過すれば解約できます。これは通知することで転借人にも対抗できます。しつこいけど正当事由が必要です。

②は借地借家法に規定されており、①は借地借家法に規定がないから民法を適用しています。

つまり、
①合意解除は転職人に対抗できない、例外は賃借人の債務不履行。
②は通知なしでは対抗できないが、通知によって対抗できる。正当理由も必要。
2025.03.29 20:57
宅建女子さん
(No.11)
管理人さんと投稿が被ってしまいました。失礼しました💦


自分の投稿、少し言葉足らずだったので補足します。

>但し債務不履行による解除であればその限りではないという例外規定があります。この場合、Cには通知する等して支払いの機会を与える必要もありません。

債務不履行→これは賃借人Bの債務不履行です。
2025.03.29 21:00
とみーさん
(No.12)
ご回答をくださったみなさま、ありがとうございます。

こと実務においては、借地借家法が適用されるかされないか、、
実状による判断が肝になるのですね。

いざ実務にあたる時、冷静に、正しい業務ができるよう、
常に情報収集と復習を怠らないように心がけようと思います。
2025.03.29 21:16
クリオネさん
(No.13)
先の私のコメント内容がややこしい書き方になったのでとりあえず削除しました。ご容赦ください。
再度、あいさんのご質問に対して加筆訂正の上、整理してみました。

あいさんの質問されている箇所については、テキスト的には登場人物Aさん(賃貸人)、Bさん(賃借人)、
Cさん(転借人)が登場してきてAB間の契約の終了方法によって転借人Cさんの立場を考える際に民法の考え方と借地借家法の考え方がどういう場合に当てはまるか、またその法的効果を押さえるのが肝なのかなと思います。

①のケース(民法)
   Aさん(貸主)とBさん(借主)が合意解除して契約を終了させた場合
合意解除は、BさんとAさんの間の事情にすぎないため、転借人Cさんからしたら、「いきなり契約が終   わった!」という感じで、予測が難しい(つまり想定外)ので転借人Cさんは保護される。
 なのでCさんは引き続き住み続けることができる。(AさんはCさんを追い出せない)※賃借人Bさんの債務不履行の場合はAさんがCさんに建物明け渡し請求すれば転貸借も終了し(AさんはCさんに対抗できる)、この場合はAさんはCさんに通知等をして賃料を支払う機会を与える必要はない。

②のケース(借地借家法)
 契約期間の満了や解約の申し入れによって、AさんとBさんの契約が終了する場合
 これはCさんの想定内の可能性が高いです。
なぜなら、転貸借契約の場合、Cさんは「元の賃貸借契約(AB間)が終了すれば、自分の契約も終わる可能性がある」と認識しているはずだろうからです。
借地借家法は借主や転借人を強く保護する法律なので、例えばAさんがBさんに解約を通知するだけでは足りないため、Aさんは、Cさんにも「契約が終了するよ」と通知しないといけない。
ただし、いきなり契約が終わると困るので、貸主AさんはCさんに事前通知をしないといけない。
もし通知しなかったら、AさんはCさんを追い出せない。
2025.03.29 21:16
クリオネさん
(No.14)
追伸
私が先のコメントを削除して修正版を投稿するまで、どんどん投稿がされてましたね。(^-^;
管理人さん、とみーさん、宅建女子さんのコメントであいさんの疑問点も解消するのに十分でしたね。
自分自身、今まで身に着けた知識をさび付かせないようにこの掲示板を通じて常に振り返りながら勉強させてもらってます。
(人''▽`)ありがとうございます☆
2025.03.29 21:25
あいさん
(No.15)
 過去の掲示板を見ているうちにいつのまにか沢山回答いただきありがとうございます。
 最初の自分の質問の仕方が抽象的で分かりづらく反省してます。
 当たり前ですが、①と②は、テキストの民法と借地借家法のページに別々に載っていて、賃貸人、賃借人、転借人の図解がそれぞれ載っているのですが、2つの図の中の3人の配置が違っていて、①と②の状況が同じなのか、何か他に相違があるのか、そこでわからなくなって悩みました。
 皆さんの回答をいただき、同じ状況であることを理解しました。
 その上で、民法には合意解除についての記載はあるけど、借地借家法では、期間満了と解約申入れについては述べられていない。
 借地借家法では、合意解除については触れていないけど、期間終了、解約申入れについて述べている。

 借地借家法の方が民法より優先される、というのは分かってはいたのですが、自分の中で「使い分け」という表現になってしまいました。

 自分の中でちょっとひっかかったのは、期間満了は、転借人の想定内だと思うのですが、解約申入れは、管理人さんの説明によると「解約定めのない賃貸借や中途解約条項がある賃貸借において、契約解除を一方的に申し出ること」とのことなので、転借人にとってはいつ解約されるかわからないので想定外のことに思えました。ただ、これ以上考えると勉強が進まないのでここまでで次に進みたいと思います。
 勉強嫌い行政書士さん、クリオネさん、宅建女子さん、管理人さん、とみーさん、ありがとうございました!




2025.03.30 09:39
宅建女子さん
(No.16)
>「解約定めのない賃貸借や中途解約条項がある賃貸借において、契約解除を一方的に申し出ること」とのことなので、転借人にとってはいつ解約されるかわからないので想定外のことに思えました。

その考えは間違っていません。
だからこその「通知」と「6ヶ月の猶予」なのです。十分に準備期間を与えているのです。
Cに対抗できる理由は、Cがそれを想定してるからと考えないほうが私はいいと思います。
賃貸人の致し方ない事情によるものです(定借除く)。
さらっと読み流してるかもしれませんが、「正当な事由」も必要で、これが重要です。
逆に言えばよほどの事情がない限り、賃貸人から解約などできません。
退去せざるを得ないような事由ならばということで、借地借家法は相手に6ヶ月の猶予期間をつけることでAにこの権利を与えています。
2025.03.30 10:16
勉強嫌い行政書士さん
(No.17)
>管理人
指摘ありがとうございます。
勉強になりました。
2025.03.30 11:03
あいさん
(No.18)
 宅建女子さん、わざわざ追加で説明くださりありがとうございます。
 想定外か想定外かで考えないようにします。
 掲示板のいただいたコメントは、全部ではないですが印刷して大事な所にマーカーを引いています。ちょうど「正当な事由がある限り」の部分もマーカーを引いております。
 ありがとうございました!
2025.03.30 15:40

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