宅建試験過去問題 平成22年試験 問11

問11

借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 事業の用に供する建物の所有を目的とする場合であれば、従業員の社宅として従業員の居住の用に供するときであっても、事業用定期借地権を設定することができる。
  2. 存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくても、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。
  3. 事業用定期借地権が設定された借地上にある建物につき賃貸借契約を締結する場合、建物を取り壊すこととなるときに建物賃貸借契約が終了する旨を定めることができるが、その特約は公正証書によってしなければならない。
  4. 事業用定期借地権の存続期間の満了によって、その借地上の建物の賃借人が土地を明け渡さなければならないときでも、建物の賃借人がその満了をその1年前までに知らなかったときは、建物の賃借人は土地の明渡しにつき相当の期限を裁判所から許与される場合がある。

正解 4

問題難易度
肢16.8%
肢27.1%
肢319.5%
肢466.6%

解説

  1. 誤り。借地借家法では事業用定期借地権等の目的を「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有」としています。よって、社宅として従業員の居住の用に供する建物の場合、事業用定期借地権を設定することはできません(借地借家法23条1項)。
    専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
  2. 誤り。事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、公正証書によってのみ有効に成立します(借地借家法23条3項)。書面又は電磁的記録での契約は認められていません。
    前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
  3. 誤り。一定の期間を経過した後に取り壊すことが明らかな建物を賃貸借するときは、建物を取り壊したときに賃貸借契約が終了する旨を定めることができます。この特約は書面ですれば足りるので、公正証書である必要はありません(借地借家法39条)。
    法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
    2 前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。
  4. [正しい]。事業用定期借地権の存続期間満了により土地を明け渡さなければならない場合であっても、満了の事実をその1年前までに知らなかった建物の賃借人は、土地の明渡しにつき、裁判所から1年を上限とする期限を許与されることがあります(借地借家法35条1項)。
    借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
したがって正しい記述は[4]です。