宅建試験過去問題 平成29年試験 問47

問47

宅地建物取引業者がインターネット不動産情報サイトにおいて行った広告表示に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 物件の所有者に媒介を依頼された宅地建物取引業者Aから入手した当該物件に関する情報を、宅地建物取引業者Bが、そのままインターネット不動産情報サイトに表示し広告を行っていれば、仮に入手した物件に関する情報が間違っていたとしても不当表示に問われることはない。
  2. 新築の建売住宅について、建築中で外装が完成していなかったため、当該建売住宅と規模、外観等は同一ではないが同じ施工業者が他の地域で手掛けた建売住宅の外観写真を、施工例である旨を明記して掲載した。この広告表示が不当表示に問われることはない。
  3. 取引しようとする賃貸物件から最寄りの甲駅までの徒歩所要時間を表示するため、当該物件から甲駅までの道路距離を80mで除して算出したところ5.25分であったので、1分未満を四捨五入して「甲駅から5分」と表示した。この広告表示が不当表示に問われることはない。
  4. 新築分譲マンションについて、パンフレットには当該マンションの全戸数の専有面積を表示したが、インターネット広告には当該マンションの全戸数の専有面積のうち、最小面積及び最大面積のみを表示した。この広告表示が不当表示に問われることはない。

正解 4

問題難易度
肢14.1%
肢212.1%
肢39.7%
肢474.1%

解説

  1. 誤り。不当表示が行われた場合に、広告をした者の善意や過失の有無によりその責任が免除されることはありません。よって、宅地建物取引業者が行う広告に間違った情報が掲載された場合、それが物件所有者から入手した情報であったとしても不当表示に問われます。宅地建物取引業者には取引対象となった物件を調査する義務がありますから、調査を怠った宅地建物取引業者が悪いということです。
  2. 誤り。物件の写真や動画を広告に用いる場合は、取引する物件のものを表示するのが原則です。ただし、建物が建築工事の完了前であるなど写真や動画を用いることができない事情がある場合には、取引対象の建物の施工業者が過去に施行した建物であり、以下のいずれかに該当する場合に限り、他の建物の写真や動画を用いることができます。
    • 建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの
    • 建物の内部は、写される部分の規模、仕様、形状等が同一のもの
    他の建物の外観写真を用いる場合は、同じ施工業者、かつ、基本的に同一性が認められる外観でなければなりませんので、本肢の広告は不当表示に該当します(表示規約規則9条(22)ア)。
    建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。ただし、当該写真又は動画を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
  3. 誤り。徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間で換算して表示することになっています。このとき1分未満の端数は切り上げて1分とします(表示規約規則9条(9))。四捨五入することは許されないので、本肢のケースでは0.25分を1分に切り上げて6分と表示することになります。
    徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。
    物件からスーパーマーケット等の商業施設までの徒歩所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは、端数を切り捨てて表示しなければならない。R4-47-1
    新築住宅を販売するに当たり、当該物件から最寄駅まで実際に歩いたときの所要時間が15分であれば、物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず、広告中に「最寄駅まで徒歩15分」と表示することができる。R2⑩-47-2
    建売住宅の販売広告において、実際に当該物件から最寄駅まで歩いたときの所要時間が15分であれば、物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず、広告中に「最寄駅まで徒歩15分」と表示することができる。H23-47-3
    各種施設までの徒歩による所要時間を表示する場合は、直線距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示し、また、1分未満の端数が生じたときは1分間として計算して表示しなければならない。H15-47-2
  4. [正しい]。新築分譲マンションの専有面積は、パンフレット等の媒体を除き、最小面積及び最大面積のみで表示することができるため、不当表示に問われることはありません(表示規約規則別表6(17))。
    専有面積(パンフレット等の媒体を除き、最小面積及び最大面積のみで表示することができる。)
したがって正しい記述は[4]です。