宅建試験過去問題 平成20年試験 問23

問23

土地区画整理法における仮換地指定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 土地区画整理事業の施行者である土地区画整理組合が、施行地区内の宅地について仮換地を指定する場合、あらかじめ、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。
  2. 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、必要があると認めるときは、仮清算金を徴収し、又は交付することができる。
  3. 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。
  4. 仮換地の指定を受けた場合、その処分により使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地は、当該処分により当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から、換地処分の公告がある日までは、施行者が管理するものとされている。

正解 1

問題難易度
肢160.4%
肢29.6%
肢38.4%
肢421.6%

解説

  1. [誤り]。土地区画整理組合が仮換地の指定をする場合は、総会で同意を得る必要がありますが、土地区画整理審議会の意見を聴く必要はありません(土地区画整理法98条3項)。土地区画整理審議会の意見を聴かなければならないのは、施行者が都道府県、市町村、国土交通大臣、都市再生機構、地方住宅供給公社である場合です。
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    第一項の規定により仮換地を指定し、又は仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、個人施行者は、従前の宅地の所有者及びその宅地についての同項後段に規定する権利をもつて施行者に対抗することができる者並びに仮換地となるべき宅地の所有者及びその宅地についての同項後段に規定する権利をもつて施行者に対抗することができる者の同意を得なければならず、組合は、総会若しくはその部会又は総代会の同意を得なければならないものとし、第三条第四項若しくは第五項、第三条の二又は第三条の三の規定による施行者は、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならないものとする。
    個人施行者は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、従前の宅地の所有者の同意を得なければならないが、仮換地となるべき宅地の所有者の同意を得る必要はない。H25-20-4
    土地区画整理組合は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。H14-22-4
  2. 正しい。土地区画整理事業の施行者は、仮換地の指定から換地処分まで長期間を要する場合など必要があると認めるときは、仮換地を指定した場合に、仮清算金を徴収・交付することができます(土地区画整理法102条1項)。
    換地処分時には、土地の価値の増減による各権利者間の不均衡を是正するため清算金の徴収・交付が行われますが、仮清算金の徴収・交付があった場合には、その差額だけが徴収・交付されることとなります。
    施行者は、第九十八条第一項の規定により仮換地を指定した場合又は第百条第一項の規定により使用し、若しくは収益することを停止させた場合において、必要があると認めるときは、第九十四条に定めるところに準じて仮に算出した仮清算金を、清算金の徴収又は交付の方法に準ずる方法により徴収し、又は交付することができる。
  3. 正しい。仮換地の指定があった場合、従前の宅地について使用権原を有していた者は、仮換地指定の効力発生日から換地処分の公告日まで、仮換地を従前の宅地と同じように使用収益することができます(土地区画整理法99条1項)。一方、従前の宅地については使用収益することが禁止されます。
    従前の宅地に所有権などの権利を残したまま、仮換地に使用収益権だけを移転するのが仮換地指定の効果です。その後、換地処分が実施されると、所有権などの権利も移転され自分の土地として使用収益できるようになります。
    前条第一項の規定により仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から第百三条第四項の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができるものとし、従前の宅地については、使用し、又は収益することができないものとする。
    仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。R6-20-1
    仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。H28-21-2
    仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。H21-21-2
  4. 正しい。仮換地の指定を行った結果、使用者がなくなった宅地は、使用収益する者がなくなった時から換地処分の公告の日まで、施行者が管理することとなります(土地区画整理法100条の2)。
    第九十八条第一項の規定により仮換地若しくは仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定した場合又は前条第一項の規定により従前の宅地若しくはその部分について使用し、若しくは収益することを停止させた場合において、それらの処分に因り使用し、又は収益することができる者のなくなつた従前の宅地又はその部分については、当該処分に因り当該宅地又はその部分を使用し、又は収益することができる者のなくなつた時から第百三条第四項の公告がある日までは、施行者がこれを管理するものとする。
    仮換地を指定したことにより、使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から換地処分の公告がある日までは、施行者が当該宅地を管理する。R4-20-3
    土地区画整理組合が仮換地を指定した場合において、当該処分によって使用し又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、換地処分の公告がある日までは、当該宅地の存する市町村がこれを管理する。H14-22-3
したがって誤っている記述は[1]です。