宅建試験過去問題 平成14年試験 問13

問13

Aが、平成22年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物買取請求権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. AB間の借地契約が、公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には、Bは建物買取請求権を有しない。
  2. 建物買取請求権は、契約終了の理由を問わず、Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、BはAに対して建物の買取りを請求することができる。
  3. BがAの承諾を得て土地をCに転貸し、建物を譲渡した場合、AB間、BC間の契約が、ともに期間満了し更新がなければ、CはAに対し直接建物買取請求権を有する。
  4. Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちにBからAに移転するが、BはAが代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。

正解 2

問題難易度
肢14.5%
肢275.8%
肢38.5%
肢411.2%

解説

  1. 正しい。10年以上30年未満の事業用定期借地権等では、特約の有無にかかわらず、法定更新、建物買取請求権、建物築造による存続期間更新の強行規定が適用除外となります(借地借家法23条2項)。
    AB間の契約は公正証書によってされており有効な事業用定期借地権等契約ですから、Bには建物買取請求権がありません。
    専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
  2. [誤り]。債務不履行により借地契約が解除された場合には、建物買取請求権を行使することはできないとされています(最判昭35.2.9)。よって、本肢の記述は誤りです。
    借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は借地法第四条第二項による建物等買取請求権を有しない。
  3. 正しい。借地権の転貸を受けた者(転借地権者)も、土地の所有者に建物買取請求権を行使することが可能です(借地借家法13条3項)。よって、適法に借地権の転貸を受けているCは、借地権契約の更新がないとき、土地の所有者であるAに対して直接建物買取請求権を行使できます。
    前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
  4. 正しい。建物買取請求権が行使された場合の、建物引渡しと代金支払いは同時履行の関係にあります(大判昭7.1.26)。よって、BはAが代金を支払うまで建物の引渡しを拒むことができます。なお、建物買取請求権は形成権(請求すると強制的に売買契約成立とみなす)であるため、直ちに所有権が移転することとなります。
したがって誤っている記述は[2]です。