不当景品類及び不当表示防止法(全27問中9問目)

No.9

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
平成30年試験 問47
  1. 新築分譲住宅について、価格Aで販売を開始してから2か月以上経過したため、価格Aから価格Bに値下げをすることとし、価格Aと価格Bを併記して、値下げをした旨を表示する場合、値下げ金額が明確になっていれば、価格Aの公表日や値下げの日を表示する必要はない。
  2. 土地上に古家が存在する場合に、当該古家が、住宅として使用することが可能な状態と認められる場合であっても、古家がある旨を表示すれば、売地と表示して販売しても不当表示に問われることはない。
  3. 新築分譲マンションの広告において、当該マンションの完成図を掲載する際に、敷地内にある電柱及び電線を消去する加工を施した場合であっても、当該マンションの外観を消費者に対し明確に示すためであれば、不当表示に問われることはない。
  4. 複数の売買物件を1枚の広告に掲載するに当たり、取引態様が複数混在している場合には、広告の下部にまとめて表示すれば、どの物件がどの取引態様かを明示していなくても不当表示に問われることはない。

正解 2

問題難易度
肢113.8%
肢267.8%
肢39.9%
肢48.5%

解説

  1. 誤り。過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示をするためには、下記の条件全てを満たさなくてはなりません(表示規約規則12条)。
    1. 過去の販売価格の公表日及び値下げした日を明示すること
    2. 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの直前の価格であって、値下げ前2か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること
    3. 値下げの日から6か月以内に表示するものであること
    4. 過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められるものであること
    5. 土地又は建物について行う表示であること
    過去の販売価格を使って二重価格表示を行う場合には、過去の販売価格の公表日と値下げをした日を明示する必要があるので、本肢は誤りです。
    新築分譲住宅の販売に当たって行う二重価格表示は、実際に過去において販売価格として公表していた価格を比較対照価格として用いて行うのであれば、値下げの日から1年以内の期間は表示することができる。R3⑩-47-4
    中古住宅を販売する場合、当該住宅が建築後1年未満のものであれば、実際に販売する価格よりも高い新築時の販売価格を、実際に販売する価格に併記して表示することができる。H15-47-3
  2. [正しい]。土地上に古家・廃屋等がある土地の広告をする場合、古家・廃屋等がある旨を明示すれば、売地と表示することができます(表示規約規則7条(7))。
    土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すること。
    土地取引において、当該土地上に廃屋が存在するとき、実際の土地を見れば廃屋が存在することは明らかであるため、廃屋が存在する旨を明示する必要はない。R6-47-2
    土地上に廃屋が存在する自己所有の土地を販売する場合、売買契約が成立した後に、売主である宅地建物取引業者自らが費用を負担して撤去する予定のときは、広告においては、廃屋が存在している旨を表示しなくてもよい。H17-47-1
  3. 誤り。完成予想図等を使って周囲の状況について表示するときには、現況に反する表示をしてはいけません(表示規約規則9条(23))。敷地内にある電柱及び電線を消去する加工を施すことは、この表示基準に違反する行為であり不当表示となります。
    宅地又は建物のコンピュータグラフィックス、見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。
    新築分譲マンションを完成予想図により表示する場合、完成予想図である旨を表示すれば、緑豊かな環境であることを訴求するために周囲に存在しない公園等を表示することができる。R3⑩-47-3
    新築分譲マンションの販売広告で完成予想図により周囲の状況を表示する場合、完成予想図である旨及び周囲の状況はイメージであり実際とは異なる旨を表示すれば、実際に所在しない箇所に商業施設を表示するなど現況と異なる表示をしてもよい。H25-47-1
    新築分譲マンションの完成予想図を販売広告に掲載するに当たり、実際には工場が所在する箇所に公園を記載するなど、周囲の状況について現況に反する表示を行う場合は、「周囲の状況はイメージであって、実際の状況とは異なる」旨を表示しなければならない。H16-47-4
  4. 誤り。宅地建物取引業者には、広告をするときに取引態様を明示する義務があります。取引態様の違いによって宅地建物取引業者の権限や報酬額が変わってくるため、たとえ取引態様が複数混在している場合でも、物件ごとに表示する必要があります。まとめて表示することはできないので本肢は誤りです(表示規約15条(1))。
したがって正しい記述は[2]です。