報酬関連(全25問中7問目)

No.7

宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。
令和2年10月試験 問30
  1. Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。
  2. Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。
  3. Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、30万8,000円である。
  4. Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。

正解 4

問題難易度
肢16.6%
肢220.3%
肢311.3%
肢461.8%

解説

  1. 誤り。土地には消費税がかからないので、売買代金を5,000万円として報酬を計算します。
    宅地建物取引業者A(売主代理)の報酬限度額
    (5,000万円×3%+6万円)×1.10=171万6,000円
    171万6,000円×2=343万2,000円
    宅地建物取引業者B(買主媒介)の報酬限度額
    (5,000万円×3%+6万円)×1.10=171万6,000円
    1つの取引について複数の宅地建物取引業者が関与した場合でも、報酬額の合計は媒介の報酬額の2倍(代理と同額)を超えることはできません(報酬告示3)。
    本肢では、Aが343万2,000円、Bが171万6,000円、合計514万8,000円を受領しています。これだと報酬限度額である343万2,000円を超えているので、宅地建物取引業法に違反します。また、Bが買主から当該金額を受け取った場合は、Aが売主から受領できる額は171万6,000円が限度となります。
  2. 誤り。居住用建物の貸借の媒介に関して依頼者の一方から受領できる金額は、依頼者の承諾を得ている場合を除き「借賃1月分+消費税」の2分の1以内となります。この承諾は「媒介の依頼を受けるに当たって」得ている必要があるので、本肢のように報酬請求時までの承諾では、依頼者の一方から借賃の1.1か月分を受領できないことがあります(報酬告示4)。
    Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。R4-27-2
    Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。R4-27-3
    建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。R3⑫-31-ア
    宅地建物取引業者が、事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。R2⑫-34-3
    Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。R2⑩-30-4
    宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.10月分の報酬を受領することはできない。H22-42-3
  3. 誤り。借賃の1月分+消費税は「25万円×1.10=27万5,000円」、居住用建物以外の貸借なので、依頼者の一方から全額の27万5,000円を受領することが可能です。
    また、居住用建物以外の貸借で権利金の授受があるので、その権利金を売買代金として報酬額を計算することが可能です。権利金の額は消費税を含むので、税抜き価格である「330万円÷1.10=300万円」が売買代金となります。この金額を基準に報酬を算定した場合、「300万円×4%+2万円=14万0,000円」となり、それに消費税相当額を加えた「14万0,000円×1.10=15万4,000円」が依頼者の一方から受け取れる上限額となります。
    どちらで報酬を算定しても、依頼者の一方から30万8,000円を受け取ることはできません。30万8,000円は、依頼者の双方から受け取れる上限額です。
  4. [正しい]。居住用以外建物の貸借の媒介では、双方から受け取る報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬限度額まで受領することもできます(報酬告示4)。
    Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。R4-27-2
    Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。R4-27-3
    建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。R3⑫-31-ア
    宅地建物取引業者が、事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。R2⑫-34-3
    Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。R2⑩-30-2
    宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.10月分の報酬を受領することはできない。H22-42-3
したがって正しい記述は[4]です。