宅建試験過去問題 平成22年試験 問42(改題)

問42

宅地建物取引業者(消費税課税事業者)の媒介により建物の賃貸借契約が成立した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税相当額を含まないものとする。また、貸借の代理又は媒介をする宅地又は建物は長期の空家等には該当しない。
  1. 依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、国土交通大臣が定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
  3. 宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.10月分の報酬を受領することはできない。
  4. 宅地建物取引業者が居住用建物以外の建物の貸借の媒介を行う場合において、権利金の授受があるときは、当該宅地建物取引業者が受領できる報酬額は、借賃の1.10月分又は権利金の額を売買代金とみなして算出した金額のいずれか低い方の額を上限としなければならない。

正解 3

問題難易度
肢114.7%
肢29.2%
肢366.9%
肢49.2%

解説

  1. 誤り。国土交通大臣が定める報酬額(報酬告示)は、報酬の限度額を定めているものであり、具体的な報酬額については、限度額の範囲内で宅地建物取引業者と依頼者の合意により決まります(宅建業法46条1項・2項)。あくまでも限度額ですので必ずその額の支払いを要するわけではありません。
    宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。R2⑫-34-1
    宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けることH13-45-エ
  2. 誤り。好意で支払う謝金であっても報酬の一部とみなされるので、その額を合わせて限度額を超えることはできません。法定の限度額とは別に受領することが認められる費用は、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額、依頼者の依頼によって行う物件調査の特別な費用などに限定されています。
  3. [正しい]。賃借の代理・媒介では、依頼者の双方から受領できる報酬の合計額は「借賃1月分+消費税」が上限です。また、居住用建物の貸借では依頼者の承諾を得ている場合を除き、一方の依頼者から受けることができる報酬額は「借賃0.5月分+消費税」に制限されます。本肢は居住用建物ですから、依頼者の承諾がなければ、一方から1.1月分の報酬を受領することはできません。
  4. 誤り。低い方ではありません。居住用建物以外の貸借の媒介で権利金の授受がある場合、「借賃1月分+消費税」または「権利金の額を売買代金として計算した報酬額」のいずれか高い方を報酬限度額とすることが認められています。
したがって正しい記述は[3]です。