宅地建物取引業・免許(全58問中58問目)

No.58

宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成12年試験 問30
  1. A社が、甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有する場合で、乙県の支店のみで宅地建物取引業を営もうとするとき、A社は、乙県知事の免許を受けなければならない。
  2. B社の政令で定める使用人が、かつて不正の手段により免許を受けたとして当該免許を取り消された場合で、その取消しの日から5年を経過していないとき、B社は、免許を受けることができない。
  3. C社の取締役が、かつて破産手続開始の決定を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過していないとき、C社は、免許を受けることができない。
  4. D社が、免許の更新の申請を怠り、その有効期間が満了した場合は、D社は、遅滞なく、免許証を返納しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢15.9%
肢270.1%
肢38.3%
肢415.7%

解説

  1. 誤り。2つ以上の都道府県に宅地建物取引業を営む事務所を設置する場合には、国土交通大臣の免許を受ける必要があります(宅建業法3条1項)。A社の本店は宅地建物取引業を営みませんが、本店は宅地建物取引業を行わない場合も事務所に該当します。甲県・乙県に事務所を有することになるので、乙県知事ではなく国土交通大臣の免許が必要です。
    宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
    宅地建物取引業者(甲県知事免許)は、乙県内で一団の建物の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において建物の売買の契約を締結し、又は契約の申込みを受ける場合、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。R2⑫-29-4
    甲県に事務所を設置する宅地建物取引業者(甲県知事免許)が、乙県所在の物件を取引する場合、国土交通大臣へ免許換えの申請をしなければならない。H25-43-1
    宅地建物取引業を営もうとする者は、同一県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては、国土交通大臣の免許を受けなければならない。H23-26-1
    C社が乙県にのみ事務所を設置し、Dが丙県に所有する1棟のマンション(10戸)について、不特定多数の者に反復継続して貸借の代理を行う場合、C社は乙県知事の免許を受けなければならない。H23-26-3
    本店及び支店1か所を有する法人Aが、甲県内の本店では建設業のみを営み、乙県内の支店では宅地建物取引業のみを営む場合、Aは乙県知事の免許を受けなければならない。H21-26-1
    甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有するA社が、乙県の支店でのみ宅地建物取引業を営もうとするときは、A社は、乙県知事の免許を受けなければならない。H19-33-1
  2. [正しい]。法人の役員・政令で定める使用人(事務所長や営業所長等)が以下の3つの事由で免許取消処分を受け、そのときから5年を経過していないときは、その法人の欠格事由に該当します(宅建業法5条1項2号宅建業法5条1項12号)。
    1. 不正の手段により免許を受けた
    2. 業務停止処分に違反した
    3. 業務停止処分に該当し、情状が特に重い
    よって、B社は免許を受けることはできません。
    第六十六条第一項第八号又は第九号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員(中略)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
    法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
    個人Aが不正の手段により免許を受けた後、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過した場合、その間に免許を受けることができない事由に該当することがなかったとしても、Aは再び免許を受けることはできない。R3⑩-27-1
    個人Cは、かつて免許を受けていたとき、自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませ、その情状が特に重いとして免許を取り消されたが、免許取消しの日から5年を経過していないので、Cは免許を受けることができない。H16-31-3
  3. 誤り。破産手続開始の決定を受けた者であっても、復権を得れば直ちに欠格事由ではなくなります(宅建業5条1項1号)。C社の取締役は既に復権を得ているので、C社は免許を受けることができます。
    破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  4. 誤り。免許を返納する必要があるのは以下の3つのケースです(宅建業法規則4条の4)。
    1. 免許換えがあった場合
    2. 免許を取り消されたとき
    3. 亡失した免許証を見つけたとき
    免許更新を怠り、有効期間が満了した場合には返納は不要とされています。既に有効期間が満了しており、その免許自体の効力がないためです。なお、宅地建物取引士が取引士証の更新の申請を怠り、その有効期間が満了した場合は、速やかに、失効した取引士証を返納しなければなりません(宅建業法22条の2第6項)。違いに注意しましょう。
    宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、免許の更新の申請を怠り、その有効期間が満了した場合、Dは、遅滞なく、丙県知事に免許証を返納しなければならない。R3⑫-36-3
    個人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、免許の更新の申請を怠り、その有効期間が満了した場合、Aは、遅滞なく、甲県知事に免許証を返納しなければならない。H28-35-1
したがって正しい記述は[2]です。