監督処分・罰則(全19問中2問目)

No.2

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
令和5年試験 問41
  1. 甲県知事は、宅地建物取引士に対して必要な報告を求めることができるが、その対象は、甲県知事登録の宅地建物取引士であって、適正な事務の遂行を確保するために必要な場合に限られる。
  2. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)で専任の宅地建物取引士として従事しているB(甲県知事登録)が、勤務実態のない宅地建物取引業者C(乙県知事免許)において、自らが専任の宅地建物取引士である旨の表示がされていることを許した場合には、乙県知事は、Bに対し、必要な指示をすることができる。
  3. 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、情状が特に重いときは、当該宅地建物取引士の登録を消除することができる。
  4. 都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢14.3%
肢244.5%
肢339.3%
肢411.9%

解説

  1. 誤り。甲県知事は甲県内で事務を行う宅地建物取引士に対しても、報告を求めることができます。
    国土交通大臣はすべての宅地建物取引士に対して、都道府県知事はその登録を受けている宅地建物取引士と当該都道府県内で事務を行う宅地建物取引士に対して、必要な報告を求めることができます。報告を求めることができるのは、宅地建物取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときに限られます(宅建業法72条3項)。
    国土交通大臣は、全ての宅地建物取引士に対して、都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士及び当該都道府県の区域内でその事務を行う宅地建物取引士に対して、宅地建物取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その事務について必要な報告を求めることができる。
    国土交通大臣は、すべての宅地建物取引士に対して、購入者等の利益の保護を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。H30-32-3
  2. [正しい]。勤務実態がない本肢のケースのように、専任性を満たしていないのに専任の宅地建物取引士となること、2つ以上の業者の専任の宅地建物取引士となることは、いわゆる"名義貸し"と呼ばれる違法行為です。"名義貸し"が行われた場合は指示処分の対象となります(宅建業法68条1項2号)。指示処分と事務禁止処分は、業務地の都道府県知事もすることができますから、乙県知事はBに対して指示処分をすることができます(宅建業法68条3項)。
    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。

    二 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき。
    都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が第一項各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。
    宅地建物取引士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義で宅地建物取引士である旨の表示をしたときは、法第68条の規定に基づく処分の対象となるが、当該他人が宅地建物取引士の登録を受けた者であるときはこの限りでない。R6-29-3
    宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士の登録を受けた場合、その登録をした都道府県知事は、宅地建物取引士資格試験の合格の決定を取り消さなければならない。H30-32-2
    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が、他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。H17-32-1
  3. 誤り。消除できるのではなく、しなければなりません。宅地建物取引士が不正の手段により取引士証の交付を受けたことは、即座に登録消除の事由となります。情状が特に重いという条件もありません。登録消除の事由に該当した場合、都道府県知事は登録を消除しなければなりません宅建業法68条の2第3号)。
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    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該登録を消除しなければならない。

    三 不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けたとき。
    Aは、禁錮以上の刑に処せられ登録が消除された場合は、速やかに、宅地建物取引士証を甲県知事に返納しなければならない。H18-32-4
  4. 誤り。監督処分をしたときにその旨が公告されるのは、宅地建物取引業者に対する業務停止処分と免許取消処分に限られます。宅地建物取引士への処分については公告されることはありません(宅建業法70条1項)。
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    国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしたときはその旨を公告しなければならないが、法第65条第2項の規定による業務の停止の処分をしたときはその旨の公告はしなくともよい。R6-31-4
    甲県知事は、宅地建物取引業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報により公告しなければならない。H24-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。H22-44-4
    甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。H20-45-4
したがって正しい記述は[2]です。