監督処分・罰則(全17問中1問目)

No.1

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
  1. Aが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。
  2. Aが、法第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。
  3. Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。
  4. Aの従業者名簿の作成に当たり、法第48条第3項の規定により記載しなければならない事項についてAの従業者Bが虚偽の記載をした場合、Bは罰則の適用を受けることはあるが、Aは罰則の適用を受けることはない。
令和3年12月試験 問28
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 1

問題難易度
肢146.1%
肢243.6%
肢39.0%
肢41.3%

解説

  1. 正しい。以下の図解は、免許を取り消さなければならないとき(必要的免許取消事由)と、免許を取り消すことができるとき(任意的免許取消事由)をまとめたものです。
    不正の手段で免許を受けた場合には、免許権者はその宅地建物取引業者の免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項8号)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。

    八 不正の手段により第三条第一項の免許を受けたとき。
  2. 誤り。宅地建物取引業者が免許の条件に違反した場合、免許権者はその宅地建物取引業者の免許を取り消すことができます。本肢は「取り消さなければならない」としているので誤りです(宅建業法66条2項)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
  3. 誤り。報酬額の掲示義務(法46条4項)に違反した場合、指示処分を受けることがあるとともに、50万円以下の罰金に処されます(宅建業法65条1項宅建業法82条2号)。どの違反がどの罰則になるかを覚えるのは難しいですが、法の実効性を担保するため、宣言的な条文を除いたほぼすべての義務規定に罰則が付いていると考えましょう。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許(第五十条の二第一項の認可を含む。次項及び第七十条第二項において同じ。)を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(中略)に違反した場合においては、当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。
    次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    二 第三十七条、第四十六条第四項、第四十八条第一項又は第五十条第一項の規定に違反した者
  4. 誤り。従業者名簿に虚偽記載があった場合、その虚偽記載をした者が罰則(50万円以下の罰金)の対象となります(宅建業法83条1項3号の2)。さらに両罰規定により、使用者のAも同様の罰金刑を受けることがあります(宅建業法84条2号)。よって、「Aは罰則の適用を受けることはない」とする本肢は誤りです。
    次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    三の二 第四十八条第三項の規定に違反して従業者名簿を備えず、又はこれに同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
    法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

    二 第八十条又は第八十一条から第八十三条まで(同条第一項第三号を除く。) 各本条の罰金刑
したがって正しいものは「一つ」です。