意思表示 (全12問中11問目)

No.11

Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成13年試験 問2
  1. Bが、Aや媒介業者の説明をよく聞き、自分でもよく調べて、これなら住宅が建てられると信じて買ったが、地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり、建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合、Bは、売買契約を錯誤によって取り消すことができる。
  2. 売買契約に要素の錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、取り消す意思がないときでも、Aに対し、Bに代位して、取り消すことができる。
  3. Aが、今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した場合、後に課税されたとしても、Aは、この売買契約を錯誤によって取り消すことはできない。
  4. Bは、代金をローンで支払うと定めて契約したが、Bの重大な過失によりローン融資を受けることができない場合、Bは、錯誤による売買契約の取り消しをすることはできない。

正解 2

問題難易度
肢111.8%
肢265.9%
肢38.1%
肢414.2%

解説

  1. 正しい。住宅用地の取得という契約の目的に照らすと、住宅建築に大きな支障となる地下空洞があった事実は要素の錯誤に当たります。Bは媒介をした宅地建物取引業者の説明(重説等)をよく聞き、自分でも調べたので重過失はありません。よって、Bは錯誤を主張して売買契約を取り消すことができます。
  2. [誤り]。表意者が錯誤によって取り消す意思がないときは、その相手方や第三者が錯誤による取消しを主張することができません(最判昭40.9.10※無効→取消し)。錯誤による取消しは表意者を保護するものであると解されているからです。第三者Cが表意者Bに対する債権を保全する必要がある場合には、Bが錯誤を認めさえしていれば債権者代位権を行使して取り消しを主張できる旨の判例がありますが、本肢のように表意者が認めていないときはこの限りではありません(最判昭45.3.26)。
    表意者自身において要素の錯誤による意思表示の無効を主張する意思がない場合には、原則として、第三者が右意思表示の無効を主張することは許されない。
    第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者がその意思表示の要素に関し錯誤のあることを認めているときは、表意者みずからは該意思表示の無効を主張する意思がなくても、右第三者は、右意思表示の無効を主張して、その結果生ずる表意者の債権を代位行使することが許される。
  3. 正しい。意思表示の動機に錯誤があった場合には、その動機が相手方に表示されていた場合に限り取消しの対象となります(民法95条2項)。本件では、AはBに「課税されないので売る」という事情を話していないので動機が表示されていたとは言えません。よって、取り消すことはできません。
    前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
  4. 正しい。錯誤が表意者の重過失によって生じた場合は、原則として錯誤による取消しを主張することができません(民法95条3項)。ローンで支払うという契約上、ローン融資を受けられないという事態は要素の錯誤に当たりますが、そこにはBの重過失があったので錯誤による売買契約の取り消しはできません。
    錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
    一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
    二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
したがって誤っている記述は[2]です。