意思表示 (全12問中12問目)

No.12

Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡する契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成12年試験 問4
  1. BがAから所有権移転登記を受けていた場合でも、Aは、Bに対して、AB間の契約の無効を主張することができる。
  2. Cが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受けた場合は、所有権移転登記を受けていないときでも、Cは、Aに対して、その所有権を主張することができる。
  3. DがAからこの土地の譲渡を受けた場合には、所有権移転登記を受けていないときでも、Dは、Bに対して、その所有権を主張することができる。
  4. Eが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受け、所有権移転登記を受けていない場合で、Aがこの土地をFに譲渡したとき、Eは、Fに対して、その所有権を主張することができる。

正解 4

問題難易度
肢121.1%
肢28.7%
肢315.2%
肢455.0%

解説

  1. 正しい。通謀虚偽表示はそもそも無効です(民法94条1項)。AからBへの所有権移転は効力を生じておらず、実体的有効要件を満たさないので登記は無効となります。
    よって、Aは所有権移転登記を受けているBに対して契約の無効を主張することができます。
    相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
  2. 正しい。善意無過失の第三者に対しては通謀虚偽表示による無効を対抗できません(民法94条2項)。したがって、Aは、Cに対して、AB間の売買契約が無効であることを対抗することができず、AからBへの所有権の移転がなかったことを対抗することができません。
    有効なA→B→Cの転々譲渡と考えると、BとCは当事者、AとCは前主後主の関係となります。前主であるAは民法177条にいう第三者に当たりませんので、CはAに対して登記なくして所有権を主張することができます(最判昭39.2.13)。
    前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
    不動産が甲乙丙と順次譲渡された場合、現在の登記名義人たる甲が丙から直接転移登記手続を求められるにあたつて、甲は民法第一七七条にいう第三者として、丙に対しその物権取得を否認できる関係にはない。
  3. 正しい。通謀虚偽表示は無効ですから、AからBへの所有権移転の効力は生じていません(民法94条1項)。Dは所有者であるAから土地の譲渡を受けた者、Bは無権利者ですので、Dは登記なくしてBに所有権を主張することができます。
  4. [誤り]。肢2の解説通り、善意無過失のEはAに対して所有権を主張することができます。また、所有者Aから土地の譲渡を受けたFも同様にAに対して所有権を主張することができます。この場合、EとFは対抗関係になり、先に登記を備えた方が他方に所有権を主張することができます。
したがって誤っている記述は[4]です。