借地借家法(土地)(全26問中8問目)
No.8
甲土地につき、期間を50年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース①」という。)と、期間を15年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。令和元年試験 問11
- 賃貸借契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的である場合、ケース①は期間の定めのない契約になり、ケース②では期間は15年となる。
- 賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース①の期間は30年となり、ケース②の期間は15年となる。
- 賃貸借契約が居住の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを書面で定めればその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを書面で定めても無効であり、期間は30年となる。
- 賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。
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正解 3
問題難易度
肢112.1%
肢215.2%
肢358.7%
肢414.0%
肢215.2%
肢358.7%
肢414.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:14 - 借地借家法(土地)
解説
- 誤り。資材置場とする目的、すなわち建物の所有を目的としないため、借地借家法は適用されず民法の規定が適用されます。民法では賃貸借契約の上限を50年としているため、ケース①は50年、ケース②は15年となります(民法604条)。
賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
- 誤り。建物の所有が目的であり更新がない等の条件がないので、普通借地権の設定契約ということになります。普通借地権の存続期間は少なくとも30年で、それよりも長い期間を定めた場合にはその期間となります(借地借家法3条)。よって、ケース①は50年、ケース②は30年となります。なお、普通借地権の契約方法については特に定めがありませんので、公正証書で契約するかどうかは関係ありません。
借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。(R6-11-3)本件契約において借地権の存続期間を60年と定めても、公正証書によらなければ、その期間は30年となる。(H30-11-3)賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。(H29-11-2)賃貸借の存続期間を60年と定めた場合には、ケース①では書面で契約を締結しなければ期間が30年となってしまうのに対し、ケース②では口頭による合意であっても期間は60年となる。(H26-11-1)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。(H19-13-4) - [正しい]。居住用建物の所有を目的として事業用定期借地権等を設定することはできないので、更新がないことを定める方法は一般定期借地権に限られます。一般定期借地権の存続期間は50年以上なので、ケース①はそのまま50年となります。一方、ケース②は50年未満なので更新のない定めは無効となり、普通借地権の最短期間である30年となります(借地借家法22条1項)。
存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
- 誤り。
[ケース①]
事業用定期借地権等の設定契約は公正証書でしなければなりませんが、存続期間50年であれば一般定期借地権として契約することが可能です。この場合、公正証書に限らず書面であれば問題ありません。
[ケース②]
存続期間15年の定期借地権を設定できるのは事業用定期借地権等だけです。専ら工場の所有を目的としている、すなわち居住用ではないので、公正証書で契約すれば存続期間15年で更新がない契約とすることができます。
なお、10年以上30年未満の事業用定期借地権では、①契約更新がない、②建物買取請求権がない、③築造により存続期間延長がない旨の特約をしなくても上記の効果が生じます(借地借家法23条2項)。よって必ずしも「契約の更新がないことを公正証書で定め」ることは求められませんが、もし定めたとしても無効になるわけではありません。専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。(R3⑩-11-2)甲土地につき、小売業を行うというBの計画に対し、借地借家法が定める要件に従えば、甲土地の賃貸借契約締結によっても、又は、甲土地上にAが建物を建築しその建物についてAB間で賃貸借契約を締結することによっても、Aは20年後に賃貸借契約を更新させずに終了させることができる。(H18-13-3)AB間の借地契約が、公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には、Bは建物買取請求権を有しない。(H14-13-1)
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