所有権・共有・占有権・用益物権(全34問中7問目)

No.7

不動産の共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和2年12月試験 問10
  1. 相続財産を除く共有物について各共有者の持分が不明な場合、持分は平等と推定される。
  2. 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状や効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。
  3. 共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。
  4. 共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は国庫に帰属する。

正解 4

問題難易度
肢16.7%
肢28.8%
肢39.9%
肢474.6%

解説

  1. 正しい。各共有者の持分が不明な場合や特に取り決めがない場合、各共有者の持分は等しいものと推定されます(民法250条)。ただし、相続財産の共有では、各相続人の持分は法定相続分によるものとなります(民法898条2項)。
    共有者の持分は、相等しいものと推定する。
  2. 正しい。共有物に対する保存行為・管理行為・変更行為に必要となる共有者の同意は下表のとおりです。変更行為とは、形状や効用に著しい変化を伴う変更、長期の賃貸借契約の締結、共有物の処分行為等を指し、他の共有者の同意を得なければすることができません(民法251条1項)。
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    各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
    Aは、BとCの同意を得なければ、この建物にその形状又は効用の著しい変更を伴う物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。H15-4-2
  3. 正しい。共有物の保存行為は、共有物の物理的変化を伴わず、他の共有者に不利益がない行為を指し、各共有者が単独ですることができます(民法252条5項)。
    各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
    各共有者は、共有物の不法占拠者に対し、妨害排除の請求を単独で行うことができる。H23-3-3
  4. [誤り]。国庫に帰属ではありません。共有者の1人が死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。
    共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
    GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。H29-3-4
    Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。H19-4-4
    Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法第958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB及びCに帰属する。H18-4-4
    Aが、その共有持分を放棄した場合、この建物は、BとCの共有となり、共有持分は各2分の1となる。H15-4-3
したがって誤っている記述は[4]です。