所有権・共有・占有権・用益物権(全34問中29問目)

No.29

A、B及びCが、建物を共有している場合(持分を各3分の1とする。)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
平成15年試験 問4
  1. Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。
  2. Aは、BとCの同意を得なければ、この建物にその形状又は効用の著しい変更を伴う物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。
  3. Aが、その共有持分を放棄した場合、この建物は、BとCの共有となり、共有持分は各2分の1となる。
  4. 各共有者は何時でも共有物の分割を請求できるのが原則であるが、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。

正解 1

問題難易度
肢171.3%
肢218.0%
肢35.6%
肢45.1%

解説

  1. [誤り]。共有持分も所有権の一つですから、自己の共有持分を処分することは各共有者が単独で可能です(民法206条)。よって、Aは他の共有者の同意を得なくても、自分の共有持分権を売却することができます。なお、共有物自体の売却には共有者全員の同意が必要です。
    所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
  2. 正しい。共有物について軽微でない変更を行う際には、共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。よって、Aが本肢の変更を行おうとするときにはBとCの同意が必要となります。
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    各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
    各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状や効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。R2⑫-10-2
  3. 正しい。共有者の1人が、持分を放棄したとき、または死亡して相続人がいないときは、その共有者の持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。BとCの共有持分は均等ですから、Aが放棄した後はBとCがそれぞれ2分の1の持分で共有することになります。
    共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
    共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は国庫に帰属する。R2⑫-10-4
    GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。H29-3-4
    Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。H19-4-4
    Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法第958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB及びCに帰属する。H18-4-4
  4. 正しい。各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるのが原則ですが、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができます(民法256条1項
    各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
    各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるが、5年を超えない期間内であれば、分割をしない旨の契約をすることができる。H23-3-1
    A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。H19-4-3
したがって誤っている記述は[1]です。