不動産登記法(全27問中26問目)
No.26
所有権保存の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。平成12年試験 問14
- 所有権の登記がされていない建物について、その所有権が自己にあることを確定判決によって証明できる者は、当該建物の所有権保存の登記を申請することができる。
- 土地の登記簿の表題部に被相続人が所有者として記載されている場合において、その相続人が複数あるときは、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ所有権保存の登記を申請することができる。
- 土地収用法による収用によって土地の所有権を取得した者は、直接自己名義に当該土地の所有権保存の登記を申請することができる。
- 1棟の建物を区分した建物の登記簿の表題部に記載された所有者から所有権を取得したことを証明できる者は、直接自己名義に当該建物の所有権保存の登記を申請することができる。
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正解 2
問題難易度
肢15.3%
肢255.9%
肢314.1%
肢424.7%
肢255.9%
肢314.1%
肢424.7%
分野
科目:1 - 権利関係細目:17 - 不動産登記法
解説
- 正しい。所有権を有することが確定判決によって確認された者は、その情報を提供することにより、所有権保存の登記を申請することができます(不動産登記法74条1項2号)。所有権の保存登記に限らず、確定判決で登記手続きの命令を得ればそれをもって確定的に登記を申請できます。
- [誤り]。実質的に表題所有者の同一視できる表題部所有者の相続人その他の一般承継人は、所有権の保存登記をすることができます(不動産登記法74条1項1号)。
ただし、相続人が複数であるときは、共同相続人の1人が、自己の持分についてのみ保存登記を申請することは認められていません(先例昭30.10.15-2216号)。これは登記記録上、一時的であれ被相続人と相続人が不動産を共有している状態になってしまうためです。これに対して、共同相続人全員が共同してあるいは共有者の1人が全員のために、共有物の保存行為として、全員の持分の保存登記を申請することはできます(先例明33.12.18-1611号)。 - 正しい。表題部所有者から不動産を取得した場合、表題部所有者が所有権保存登記を行い、取得者が移転登記を受けるという2段階の登記手続きが必要となるのが原則です。しかし、土地収用法に基づく土地収用によって、所有権保存登記のない土地を取得した者は、移転登記を経由せず、所有権保存登記を直接申請することができます(不動産登記法74条1項3号)。また、所有権保存登記のある土地を収用で取得した場合は、起業者が所有権移転登記を単独で申請できます。どちらも旧所有者の協力が得られないことが多いためです(不動産登記法118条1項)。表題部所有者であるAから土地を買い受けたBは、Aと共同してBを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をすることができる。(H19-16-1)表題部に所有者として記録されている者の相続人は、所有権の保存の登記を申請することができる。(H18-15-3)所有権の登記がされていない建物について、その所有権が自己にあることを確定判決によって証明できる者は、当該建物の所有権保存の登記を申請することができる。(H12-14-1)土地の登記簿の表題部に被相続人が所有者として記載されている場合において、その相続人が複数あるときは、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ所有権保存の登記を申請することができる。(H12-14-2)
- 正しい。分譲マンションなどの場合、表題部所有者はデベロッパーや分譲業者等になるので、原則的な手続きに従えば、表題部所有者が単独で保存登記を行い、取得者と共同で所有権の移転登記をすることになります。しかし、表題部所有者から別の人への譲渡を前提とする区分建物については、登記手続の簡便化のため、表題部所有者から所有権を取得した者が直接自己名義で所有権保存登記を申請できることになっています(不動産登記法74条2項)。
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