不動産登記法(全27問中22問目)

No.22

不動産登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成17年試験 問16
  1. 登記の申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
  2. 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
  3. 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
  4. 所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記の有無にかかわらず、現在の所有権の登記名義人が単独で申請することができる。

正解 4

問題難易度
肢117.7%
肢28.8%
肢39.3%
肢464.2%

解説

  1. 正しい。権利の登記は、登記権利者と登記義務者による共同申請が原則ですが、登記を命じる確定判決があった場合、相続その他一般承継、信託の登記、登記義務者の承諾がある場合の仮登記などは、単独申請が可能となっています(不動産登記法63条1項)。
    第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
    登記原因を証する情報として執行力のある判決が添付されている場合でも、法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは、別に当該第三者の許可を証する書面を添付しなければならない。H15-15-4
    登記権利者及び登記義務者が共同して申請することを要する登記について、登記義務者が申請に協力しない場合には、登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば、その登記義務者の申請は要しない。H14-15-4
  2. 正しい。権利の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同で申請するのが原則ですが、相続・法人の合併による権利の移転登記では、登記義務者となるべき人が死亡や消滅により存在しないので、相続人や存続会社等の登記権利者が単独で申請することができます(不動産登記法63条2項
    相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
    法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。R3⑩-14-3
    登記の申請は、登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則であるが、相続による登記は、登記権利者のみで申請することができる。H14-15-3
  3. 正しい。登記名義人の氏名又は名称・住所についての変更や更正の登記は、権利の登記のひとつですが、権利の設定や移動ではなく単なる情報更新です。このケースでは、登記義務者と登記権利者の関係が存在しないので、登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法64条1項)。
    登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
    登記名義人の住所についての変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。R6-14-4
    所有権の登記名義人は、その住所について変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。H30-14-4
  4. [誤り]。所有権の登記の抹消は、所有権移転の登記がない場合に限って、現在の所有権の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法77条)。所有権の移転の登記がない場合とは、所有権の保存登記のみがされている状態です。所有権移転登記がない場合には、抹消登記により登記を取得する者(登記権利者)がいないためです。
    所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。
    所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がある場合においても、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。R3⑩-14-1
したがって誤っている記述は[4]です。