不動産登記法(全26問中23問目)

No.23

不動産登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成15年試験 問15
  1. 不動産の登記申請において、申請書に必要な書面又は図面が添付されていない場合には、申請人が即日にこれを補正したときでも、登記官は、理由を付した決定をもって、当該申請を却下しなければならない。
  2. 抹消登記を申請する場合において、当該抹消される登記について登記上の利害関係を有する第三者があるときは、申請書には、当該第三者の承諾を証する情報又はこれに対抗することができる裁判の謄本を添付しなければならない。
  3. 登記の申請において登記識別情報の提供がされない場合でも、当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされたときには、登記官は、本人確認情報の提供の有無にかかわらず登記をしなければならない。
  4. 登記原因を証する情報として執行力のある判決が添付されている場合でも、法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは、別に当該第三者の許可を証する書面を添付しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢13.0%
肢260.6%
肢315.2%
肢421.2%

解説

  1. 誤り。登記の申請情報に不備がある場合、登記官は原則として申請を却下しなければなりません。しかし、その不備が補正できる程度のものであり、登記官が定めた相当の期間内に申請人が補正したときには、却下されず受理されることとなります(不動産登記法25条)。
    登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
    登記の申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、登記官は、理由を付した決定で、当該申請を却下しなければならない。R1-14-1
    土地の分筆の登記の申請書に記載する分割前の土地の地積は、登記記録上の地積と一致していなければならない。H12-15-2
  2. [正しい]。権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合、当該第三者の承諾があるときでなければ申請することができません(不動産登記法68条)。このため、その第三者が作成した承諾を証する情報か、第三者に対抗することのできる裁判の判決書の謄本の添付が必要となります。
    権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
  3. 誤り。登記の申請において登記識別情報を提供できない場合には、①事前通知制度の利用、または②本人確認情報提供制度の利用を選択することができます(不動産登記法23条)。
    事前通知制度
    登記官が登記義務者の住所に対し、本人限定受取郵便等で通知し、期間内に登記義務者本人から登記申請が真実である返答を受けることで本人確認をする
    本人確認情報提供制度
    ・土地家屋調査士や司法書士等の資格者代理人が申請する場合に、資格者代理人から申請人が登記義務者であることを確認するための情報提供を受けて本人確認をする
    ・申請情報について公証人から申請者が登記義務者であることの認証を受けることで本人確認をする
    登記識別情報の提供がされない場合、資格代理人から本人確認情報の提供がある場合に限り、登記官は登記をすることができます。本肢は「本人確認情報の提供有無にかかわらず」としているので誤りです。
    ※不動産登記法改正により、保証書制度は廃止されたため、後継制度である本人確認情報提供制度に関するオリジナルの肢に差し替えてあります。
  4. 誤り。登記手続きを命じる確定判決が出ている場合は、登記原因を証する情報である確定判決の判決書の正本が、第三者の許可・同意・承諾(以下、許可等)の情報を兼ねるので、別途第三者の許可等を証する書面を添付する必要はありません(不動産登記法63条1項)。
    第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
    登記の申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。H17-16-1
    登記権利者及び登記義務者が共同して申請することを要する登記について、登記義務者が申請に協力しない場合には、登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば、その登記義務者の申請は要しない。H14-15-4
したがって正しい記述は[2]です。