平成25年試験 問4「留置権」について
★☆さん
(No.1)
平成25年試験 問4の下記肢4は「正しい」となっております。
「建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人は、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することはできない。」
解説:建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人はその弁済を受けるまで建物を留置できます。しかし、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することは、物と債権との間に牽連性がないためできません。
上記について、建物のみを留置し、その一方で敷地については留置できないという状況がイメージできていません。
建物を留置した場合には、その底地についても使用することになってしまうので、敷地についても自動的に留置した状態になってしまうと考えました。
確かに、建物と関係のない土地の所有者からしたら、自分と関係のないところで自らが所有する土地について留置権を行使されたら迷惑だとは思うのですが・・・。
理解の助けになる具体的なシーンなどを教えていただけるとありがたいです。
宜しくお願いします。
2024.10.04 17:14
ガーさん
(No.2)
1 問題文では省略されていますが、3人の登場人物がいます。
土地の所有者である「第三者」
土地を借りて、所有建物を貸している「賃貸人」(問題文では登場しませんが便宜上)
建物を借りている「賃借人」
2 牽連性
牽連性は、物と債権の間にあることが必要です。
簡単に言うと、「金を払わなければ、物を渡さないぞ」と脅しの効果がある場合に認められます。
3 問題文では
「建物に関して必要費」となっているので、その償還請求はあくまで賃借人と賃貸人の間に生じた請求権です。
一方、土地の引き渡しは、土地所有者である第三者が、賃借人に対してする請求権です。
「土地を明け渡さないぞ」と第三者を脅しても、別人である賃貸人が「土地を返してもらうために償還金を支払おう」とはならない。ゆえに牽連性がないと判断されました。
2024.10.04 20:21
★☆さん
(No.3)
>>ガーさん
ご回答ありがとうございます。
その理屈までは、私も理解はしております。
しかし、そうすると、解説に「建物を留置できます」とある様に賃貸人に対しては留置権を行使している状態かと思います。
ただ、建物は土地とは切り離せませんので、「建物を留置している」=自動的に「敷地も留置することになっちゃっている」状態にあるのではないかと捉えてしまっています。
つまり逆に言えば、敷地を留置できないのであれば、建物も留置できなくなってしまうのではないかと考えてしまっております。
このあたりの具体的なイメージが掴めておらず困っております。。。
2024.10.04 22:17
宅建女子さん
(No.4)
その上で、ご想像される揉め事は実際にあると思いましたので判例探しました。
多分、ベースはこれだと思います。
昭和44(オ)413 (抜粋)
借地上にある家屋の賃借人がその家屋について工事を施したことにもとづくその費用の償還請求権は、借地自体に関して生じた債権でもなければ、借地の所有者に対して取得した債権でもないから、借地の賃貸借契約が有効に解除された後、その借地の所有者が借家人に対して右家屋からの退去およびその敷地部分の明渡を求めた場合においては、その借家人には右費用の償還を受けるまでその家屋の敷地部分を留置しうる権利は認められない、との見解に立つて、上告人の所論の留置権にもとづく本件家屋部分からの退去拒絶の抗弁を排斥した原審の判断は、正当として是認することができる。
これは一部なので興味があったらこの判例を検索してみてください。
2024.10.04 22:49
宅建女子さん
(No.5)
2024.10.04 23:02
宅建女子さん
(No.6)
>つまり逆に言えば、敷地を留置できないのであれば、建物も留置できなくなってしまうのではないかと考えてしまっております。
判例によればその考え通りになったということですね。
でもこれは結果であり、留置権の基本要件としては、建物OK、他人の敷地NGというのが原則で、問題文はそれを聞いています。
条文の知識を問われた時に今回みたいに『もしこうだったらどう』とか考えすぎると答えが出せなくなる事があるので気をつけてください。
2024.10.04 23:08
★☆さん
(No.7)
>>宅建女子さん
判例までお調べいただきましてありがとうございます。
非常に参考になりました。
判例を読むと、「敷地についての留置権は認められないので、借家人は家屋からも出ていけ」となっているかと思います。
そうすると、本来認められるべき建物部分の留置権も、このケースでは認められないということになりますよね。
すると、下記解説で「建物を留置できます」と言い切っているのは、少々荒っぽい感じがします。
正しくは、「建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、本来、賃借人はその弁済を受けるまで建物を留置できます。しかし、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することは、物と債権との間に牽連性がないためできません。そのため、本ケースにおいては、敷地を留置できない以上、建物も留置できないことになります」という感じになりますでしょうか。
--------------
解説:建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人はその弁済を受けるまで建物を留置できます。しかし、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することは、物と債権との間に牽連性がないためできません。
--------------
2024.10.04 23:09
レオンさん
(No.8)
結論としましては、建物留置権が概念的には認められるものの、結局のところ借家人は建物ごと土地を明け渡さなければならないと考えます。すなわち、スレ主様の想定されるパラドクス的な事態は発生しないということです。
平成25年試験 問4の肢4は、借家人に土地の占有権限がないことが前提とされています(問題文に明確に現れてはいませんが...)。
というのも、本肢は最判昭和44年11月6日をモデルとしていると考えらます。
同事件では①土地所有者AがBに土地を貸し、②Bが同土地上に建物を建築し、Cに貸していました。
そんな中、①の契約が解除され、A→Cに土地の明渡請求がなされました。
裁判所は、「①の契約の解除によりBは土地の占有権限を失い、これに依存するCの土地占有権限も喪失される」「Cは建物留置権を理由に土地を留置できない」という判断をしました(詳しくは判旨をご覧ください)。
同判例に従えば、Aの請求に対し、Cは何らの抗弁をも主張できないため、Aの請求が認められる=Cは建物から退去し土地を明け渡さなければならない ということになると思います。
言い換えますと、「建物留置権は土地の明渡請求に対する抗弁としては意味がない」となります。Cの土地占有が不法になる以上、いくら建物に関して権利を有していても、Cは土地を明け渡さなければなりません。
まとめますと、ご質問のように「建物留置権が認められるのに土地の留置ができないのは違和感がある」というのは至極真っ当な感覚だと思います。判例もそのような事態は認めていないからです。
少しでも理解にお力添えできたら幸いです。
2024.10.04 23:50
宅建女子さん
(No.9)
NO.6をお読みください。
2024.10.05 00:00
かつての合格者さん
(No.10)
肢の1~3を瞬時に切れれば、合格レベルの実力者だと思います。
今は深入りせずに、合格後に確りと勉強した方が良いと思います。
本試験まで16日となりました。
宅建女子さんが仰るように、『もしこうだったらどう』とか考えるのはやめておいた方が良いと思います。
合格後に考えれば良いと思います。
また、この時期は、得点に繋がり易い宅建業法や法令制限の勉強に時間を割いた方が良いと思います。
ラストスパート頑張ってください。
遠くから応援しております!
2024.10.05 00:14
★☆さん
(No.11)
>>レオンさん
ご回答ありがとうございます。
レオンさんのご指摘は宅建女子さんと同様のご主旨ですね。
>>かつての合格者さん
アドバイスありがとうございます。
この問題は1~3を切ることが出来たので正解はできたのですが、解説を読んで逆に「???建物は留置できてるの???」となってしまい、質問してしまいました。
1~3に自信が持てない肢があったら怪しいなと思い、確かに深入りしすぎの感はあるのですが皆さんのお知恵を頂戴しました。
おかげで、すごくよく理解できました!
ありがとうございます。
2024.10.05 00:32
広告
広告
返信投稿用フォーム
投稿記事削除用フォーム
広告