移転登記請求権の代位行使について

ともさん
(No.1)
【問題】
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。



  (令和2年10月試験 問14
【選択肢3】
債権者Aが債務者Bに代位して所有権の登記名義人CからBへの所有権の移転の登記を申請した場合において、当該登記を完了したときは、登記官は、Aに対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。

【回答】誤り。
  C→B→Aと不動産が転々譲渡され、登記がまだCにある場面を想像しましょう。このとき、BはCに対して所有権に基づく移転登記請求権がありますが、AはCに対して直接の請求権はないように見えます。しかし、不動産のように登記がなければ対抗要件を備えられない財産を譲渡された者は、譲渡人がその権利を行使しない場合には、債権者代位権に基づき、譲渡人Bの前主Cに対する移転登記請求権を代位行使することができます(民法423条の7)。
登記識別情報は「申請人自らが登記名義人となる場合」に交付されますが、代位による登記申請では申請者と登記名義人が異なるので、本肢の場合、申請者であるAにも登記名義人であるBにも登記識別情報が通知されることはありません(不動産登記法21条)。

●質問事項
  登記識別情報は誰に通知されるのでしょうか?
2024.09.16 20:55
ti27004さん
(No.2)
結論を先にお話しすると、今回の場合は誰にも通知されない、ということになります。

解説にある通り、不動産登記法21条に「申請人自らが登記名義人となる場合」に交付されると規定されています。まずBは不動産の権利者として登記名義人となりますが、そもそも申請人ではないため登記識別情報の通知を受ける対象者ではありません。次にCは所有権移転登記の申請人としてかかわったとしても、登記名義人ではない(不動産登記法2条11項により、権利者として登記される者ではない)ため通知の対象者になれません。最後にAですが、代位者として申請人となりますが、登記名義人ではない(Aは代位者として登記記録には載りますが)ため通知されません。

この後の話について出題可能性がどのくらいあるのかわかりませんが、今後Bが例えば所有権を誰かに譲渡したりする際に登記識別情報が必要になった場合、提供できない理由として「不通知」を記載して代わりの方法を使います。登記申請手続きを司法書士に依頼しているのであれば、司法書士による本人確認情報を登記識別情報の代わりとしたり、法務局から登記申請がされているためその申請が真正のものか確認するための事前通知に回答したりする方法がとられます。
2024.09.17 03:52
ともさん
(No.3)
ti27004さん、さっそくの返信ありがとうございます。
登記識別情報が無い(交付されない)場合があるとは知りませんでした。
出題されるケースは少ないと思いますが、理解が進みました。
2024.09.17 04:57

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