建物取壊しの際の法定地上権

ひのさん
(No.1)
平成30年問6 肢3についてですが、
「Aが甲土地に抵当権を設定登記するのと同時に乙建物にもCのために共同抵当権を設定登記した後、乙建物を取り壊して丙建物を建築し、丙建物にCのために抵当権を設定しないまま甲土地の抵当権が実行された場合、丙建物のために法定地上権は成立しない。」

「正しい。所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に、建物が取り壊されて新建物が建築された場合には、新建物についての共同抵当権の設定を受けていない限り、新建物について法定地上権は成立しません」

となっていますが、手持ちのテキストでは抵当権設定後に建物が滅失しても設定時に土地の上に建物が存在していれば再築された際に法定地上権は成立する、とされています。

取り壊しと滅失の場合では違うのでしょうか?  ご教示お願いします。
2024.08.30 23:54
させおさん
(No.2)
平成30年問6 肢3と、ひのさんがお持ちのテキストの記述との違いは、共同抵当権が設定されているかどうかにあります。

法定地上権は、抵当権者の利益を害する可能性のある権利です。したがって、法定地上権の成立には「抵当権者側の予測可能性」というのが重要となってきます。抵当権を設定する時点で、土地に建物が存在していれば、抵当権者は法定地上権が成立することを事前に考慮することができます。その後で建物滅失→再築という事態になっても、抵当権者の当初の予測から外れた事態とはなりません。

しかし、共同抵当権の場合は、土地と建物がセットになった上での抵当権ですから、建物を壊した時点で共同抵当権の意味はなくなり、抵当権者は残った土地を法定地上権のない更地として、担保価値を把握します。そこに新たな建物が建築されてしまえば、(新たに共同抵当権を設定しない限り)抵当権者にとっては法定地上権という、当初予測していなかったリスクを背負わなければならなくなってしまいます。
そのため、平成30年問6 肢3のようなケースでは、法定地上権は成立しないとの判例があります。
2024.08.31 14:34
宅建女子さん
(No.3)
問題文の状況を具体的にイメージできるといいかもしれません。

既に回答コメントがあるので補足的なコメントとなりますが…。

共同抵当権→1つの債権に対して複数の抵当権を設定すること。

お金を貸す側は担保の査定をしますよね。
このケースは土地建物セットでの価値を考えると思います。
最初は例えば土地1000万建物500万と評価して融資します。
その後、建物がなくなれば更地1000万が残ったと考えます。
しかし再建築して法定地上権を主張されると、更地は底地(自分で使用できない土地)と判断され、その価値は2〜3割に下がります。この場合300万くらいになってしまいますね。
それは抵当権者にとって想定外ですよね。
だから、このケースの法定地上権は認められませんでした。

抵当権設定時と実行時の状況をシミュレーションすると、法定地上権の成立要件も理解しやすいと思います。

例えば土地だけに抵当権設定するとして、

設定時に建物がある
→最初から底地として評価
後に建物滅失して再建築
→変わらず底地だから法定地上権OK

設定時は更地
→更地として評価
建物が建築された
→底地になり評価が変わるから法定地上権NG

設定時に土地建物が別々の所有者
→両者の間で既に何らかの土地利用権が合意されてるはずだから、基本、法定地上権は必要ないと考える
2024.09.01 13:56
ひのさん
(No.4)
させおさん、宅建女子さん。ご回答ありがとうございました。
土地の抵当権設定時の建物に、共同抵当権が設定されているかどうかが鍵だったのですね。
手持ちの参考書では共同抵当権についての記載が少なかったので理解が及んでいませんでした。
ありがとうございました!
2024.09.01 19:56

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