平成22年試験問4について
まいわしさん
(No.1)
甲土地はCからB、BからAへと売買されており、CB間の契約は強迫によるものだったとして取り消された場合には、CはBAの契約時期にかかわらず、また登記なくてもAに対抗出来る
とあり、答えは、契約時期が取消の前か後かで変わるとありました
強迫の場合は相手方が善悪関係なく対抗できると思っていたのですが、違うのでしょうか…
2024.07.12 21:41
Xさんさん
(No.2)
↓
そのとおりです。
ただし、問題文をよく読んでみてください。
問われているのは、
「Cは”登記がなくても”Aに対して”所有権を主張”することができる」かどうか、
です。
答えは、契約時期が取消の前か後かで変わるとありました
↓
登記(物権変動・対抗要件)についての論点が絡むので、「取消前」と「取消後」で答えは変わってきます。
①「取消前」の第三者に対して、Cは登記なくして対抗できる。
②「取消後」の第三者に対して、Cは登記がなければ対抗できない。
以下は念のため、補足です。
①取消前
CとBが売買契約して、
↓
BとAが売買契約
↓
Cが強迫を理由にCとBの売買契約を取消
Cは、Aの善悪を問わず契約の取消しを対抗できる。
Cは登記なくても対抗できる(Aに登記が移っていたとしてもAに所有権を対抗できる)。
自分の意思に反することなので当然主張できますよね。
→取消前=強迫による取消しと第三者、の問題。
②取消後
CとBが売買契約して、
↓
Cが強迫を理由にCとBの売買契約を取消
↓
その後、BとAが売買契約
本来であれば、Cは所有権(移転登記)を第三者Aに移さないようにする(自分(C)に登記を戻す)べきところ、それを怠ってしまったので、保護する必要がない(Aの勝ち=所有権者)ということです。
権利の上に眠るものは、保護に値せず。
権利があっても主張しなくてはダメだよと。
→取消後=対抗問題として考える(二重譲渡の類似状態)
(解説が誤っていたらご指摘ください・・・)
2024.07.13 08:59
宅KEN受かりたいさん
(No.3)
「取り消し」が有効だった場合、取り消される内容で起こった「登記の移転の行為」は有効?or無効?のどちらになるのでしょうか?
某サイトの引用になりますが
>(取消しの効果)
>第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
とあり、取り消しが成立した段階ではじめから無かったもの(移転の登記行為そのものがすべて無かったことになる)と読み取れました。
が、物権変動の取り消し「後」のフローを見ると→先勝ち。
となっており
取り消した上で(移動している登記を)改めて登記をしないと対抗できないよとも読み取れます。
2024.07.13 11:19
でしゃばりさん
(No.4)
Xさんの書かれてる通りです。
この問題は【CはBAの契約時期にかかわらず】の部分が誤りなので解答は×になりますし
解説の通り【契約時期が取消の前か後かで変わる】になります。
スレ主様の >>強迫の場合は相手方が善悪関係なく対抗できる
こちらの認識は間違いありません。
ただこれは【取り消し前】に現れた第三者との関係の話です。
【取り消し後】に現れた第三者とは登記が対抗要件になります。
つまり取り消し後に現れた第三者が登記を備えればたとえ悪意でも対抗できます。
2024.07.13 13:14
でしゃばりさん
(No.5)
宅KEN受かりたいさんへも書きたかったのにそのまま投稿してしまいました。
まず
>>取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。取り消しが成立した段階ではじめから無かったもの(移転の登記行為そのものがすべて無かったことになる)と読み取れました。
についてですが
民法第121条の2にこうあります
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
ということは移転の登記行為そのものがすべて無かったことになる、のではなく
互いに売主は売買代金の返金、買主はすでに移転された登記を売主に戻す義務を果たして
契約がなかった時の状態に戻すのです。
契約がなかった状態に戻すのが義務なのですから、取り消し後それをせずに放置している状態で
現れた第三者が登記を備えれば第三者は対抗できることになります。
民法はいろいろな条文が絡むのでスレ主様が出されてる問題で私の頭でかけるのはこのくらいなので
失礼します。
説明が下手ですみません。
2024.07.13 13:28
ti27004さん
(No.6)
①C→Bへ甲土地の売買契約・所有権移転登記
②B→Aへ甲土地の売買契約・所有権移転登記
③C→Aへ甲土地の返還請求(Cが自分の所有権を主張)
「・C→Bへ強迫を理由に①を取り消し」
選択肢2の正誤判断はXさんさんの説明を引用しますが、
>「取り消し」が有効だった場合、取り消される内容で起こった「登記の移転の行為」は有効?or無効?のどちらになるのでしょうか?
について、「・C→Bへ強迫を理由に①を取り消し」がされることにより、①の契約が無効となるため、Bは何の権限もなく登記人となっていることになります(Bは無権利者)。このためAも無権利者から甲土地を買っていることになり、不動産は即時取得のような規定もないことからAも無権利者となり、A名義の登記も無効なものとなります。しかしこの原則を貫徹すると、安心して取引をすることが出来なくなってしまうため民法96条3項のような保護規定が用意されています(3項は詐欺に関する規定ですが、反対解釈をして強迫の場合も適用)。
「・C→Bへ強迫を理由に①を取り消し」が①~③の間のどこで行われたかによってCが勝つのかA勝つのかがなぜ変わるのか。考え方(学説)が対立する場面なので詳しく知りたければ民法の基本書を読んでいただくことになりますが、試験対策上は判例の見解に従ったほうが良いのでそちらを紹介します。
取消前の第三者
最判昭和49年9月26日民集28巻6号1213頁(詐欺の事案ですが、強迫に読み替えて当てはめられると思います。)
『おもうに、民法九六条一項、三項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによつて詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至つた者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであつて、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。』
→登記などの対抗要件がなくても「第三者」であれば勝てます。
取消後の第三者
大審院昭和17年9月30日(詐欺の事案ですが、強迫に読み替えて当てはめられると思います。)
『凡そ民法96条第3項に於いて「詐欺による意思表示の取消しはこれをもって善意の第三者に対抗することを得ざる」旨規定せるは、取消によりその行為が初めより無効なりしものと看做さるる効果則ち”取消の遡及効を制限する趣旨”なれば、ここに所謂「第三者」とは「取消の遡及効により影響を受くべき第三者」、則ち「取消前より既にその行為の効力につき利害関係を有せる第三者」に限定して解すべく、「取消以後において始めて利害関係を有するに至りたる第三者」は、仮にその利害関係発生当時詐欺及取消の事実を知らざりしとするも右条項の適用を受けざること、原判示の如くなりといえども、右条項の適用なきの故をもって直ちにしかる第三者に対しては取消の結果を無条件に対抗し得るものと為すを得ず。・・・(途中省略)この物権変動は民法177条により登記を為すに非ざれば之をもって第三者に対抗することを得ざるを本則と為す・・・』
→要するに、取消後は177条を使って処理をします、ということです(後から契約した人は最初の契約が否定されないため、後契約時に所有権を手にしたと言えるか、などの問題もありますが、学説も入り乱れているところですので深入りしません)。
長文になりましたが、「取消前の第三者」と「取消後の第三者」とで考え方を分けて判断をしますので、問題を解く際はある程度割り切った方がいいでしょう。試験範囲を超えますが、実際に二重売買をするような人は、裁判をする前に行方不明になることもありますので、裁判で訴えるときに明け渡し請求とともに登記名義の移転請求もしておかないと、不動産登記の共同申請の壁に阻まれてしまいます。
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
2024.07.13 14:17
宅KEN受かりたいさん
(No.7)
解答含めて個人的にも少し調べてみたのですが、私の語学力と検索力では完全になるほどと言える状態にはできませでした。
ただ
>大審院昭和17年9月30日
の文章を自分なりに咀嚼してみた感じとしては、取消前は遡及効で保護できるけど取消後は遡及効関係なくなるから事後の登記の状態で判断するよ(だから登記戻しときなさいよ)
と言っているように読めたので多分登記は元に戻らないのでしょう・・・
これ以上考えても試験には無駄になりそうなので今はこれで納得したいと思います。
お忙しいところ解答ありがとうございます。
2024.07.14 10:16
ti27004さん
(No.8)
>宅KEN受かりたいさん
私見が入りますので、正確さは保証しませんが参考にした文献を別コメントで引用したうえで説明します。試験での優先順位はとても低いと思いますので、気分転換の一つくらいで聞き流してもらえればと思います。
>「取り消し」が有効だった場合、取り消される内容で起こった「登記の移転の行為」は有効?or無効?
不動産登記は、実体法上有効な物権変動を忠実に反映させるべきものであるため、民法上取消された結果無効となった取引に基づいて登記されたものは無効となります。ただし不動産登記法上、無効になったからといってその原状回復に伴う所有権移転登記を義務付けられていないため無効な登記が放置されるリスクがあります。
→つまり、取り消される内容で起こった「登記の移転の行為」は無効です。
特別法による物権変動の第三者に対する対抗要件が存在しない限り、自らの権利を第三者に対抗できるかは民法の規定に従って判断することになります。民法177条『不動産に関する物権の得喪及び変更は,・・・(途中省略)その登記をしなければ,第三者に対抗することができない。』とあるように、不動産の対抗関係は登記の有無によって判断されます。登記に申請義務がない以上、無効な登記が放置されるリスクは常に存在し、無効な登記を残したままにすると不都合と感じる人がいれば、有効な権利を反映するよう動くことが期待され(権利の上に眠るものは保護しない、という時効制度の根拠も踏まえると権利の主張をしたければ能動的に動くべきだと想定していることが推察できます)、判例も登記の有無で判断したものと考えています。
→要するに、「取り消しによる登記の復帰」については自動的には行われず、無効な登記の存在が邪魔だと感じるならば修正をしなさい、ということです。
まとめると、実体法上無効な行為に基づく登記も無効であるが、無効な登記を抹消する義務は当事者にないため自動的に登記は修正されず、無効な登記の存在が邪魔な人が自力で現状に沿った登記記録となるよう頑張れ、ということになります。
ちなみにですが、引用した文献のうち解説2.についてですが、問がそもそも実体法上は有効であるが登記記録が一部誤っている場合を想定したもののためこのような記述があります。私の見解で参考にした部分は解説1.のみのため引用を省いてもよかったのですが、意図的な編集と捉えられないようにするためあえて全て引用しました。
2024.07.15 13:25
ti27004さん
(No.9)
以下『』内のみこちらで追記
問
登記記録に記録された登記名義人の表示に変更が生じている場合,又は登記名義人の表示が誤って記録されている場合,若しくはその記録の全部又は一部が遺漏している場合には,直ちに,当該登記名義人の表示の変更又は更正の登記をしなければならないのですか。仮に,この変更又は更正の登記をしない場合は,その登記の効力に影響がありますか。
【答】
登記名義人の表示の変更又は更正の登記を申請するかどうかは,登記名義人の任意に委ねられており,申請義務はありません。また,登記名義人の表示の変更又は更正の登記をしなくても,当該権利に関する登記の効力に影響しません。
【解説】
1.登記名義人の申請義務
不動産登記の制度は,国が営む公的な仕組みですから,公簿たる登記簿に記録されている登記記録は,できるだけ実体的な権利関係に符合しているものであることが望ましいことは,いうまでもありません。したがって,登記された権利の内容や登記名義人の表示に変更が生じたり,これらの事項が当初から誤って登記されている場合には,速やかに現在の正しい内容・表示に改められることが理想です。そして,上記のような変更又は更正の事由があることを最もよく知っているのは,通常は当該権利の登記名義人ですから,この者に当該登記を是正するための登記申請義務を課すということも,制度の在り方として考えられるところです。しかしながら,わが国の不動産登記制度は,そのような仕組みにはなっていません。法は,表示に関する登記の一部については,公益性の観点から一定の者に申請義務を課していますが(『不動産登記』法36条,37条,42条,47条,51条,57条など),権利に関する登記については,そのような申請義務はなく,不動産登記に付与された第三者対抗力(民法177条参照)のメリットを享受するかどうかは,不動産に関する物権を取得した者の自由意思に任せるという制度を採っているのです。例えば,不動産を買い受けた者やこれに抵当権を設定した者に対して,その旨の登記を申請することを義務づけていません。登記された権利の内容や登記名義人に変更が生じたり,これらの事項が当初から誤っていたという上記のような場合も,これと同様です。権利に関する登記については,その権利関係の当事者の意思により登記の申請がされた場合に限って,登記をするというのが法の基本的な考え方なのです(わずかな例外として,権利者に登記申請義務が課されている場合があります。『不動産登記』法87条,103条など)。以上の説明から明らかなとおり,設問の前段についての解答は,「登記申請義務はない」ということになります。なお,登記名義人の表示の変更又は更正の登記については,法第64条第1項に「登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は,登記名義人が単独で申請することができる」旨の定めがあるのですが,ここに「申請することができる」というのは,法第60条が定める共同申請の原則の例外として,登記名義人による単独申請を許すという意味です。登記名義人の表示の変更又は更正の登記について申請義務がないことは,上述のように法の基本原則(当事者申請主義)に由来するものであって,法第64条第1項の規定を根拠とするものではありません。
2024.07.15 13:27
ti27004さん
(No.10)
次に,登記名義人の表示の変更又は更正の登記をすることができる場合に,登記名義人がそれをしなかったときは,申請義務違反の制裁を受けることはないとしても,その権利に関する登記の効力に影響はないのでしょうか。上記の場合,登記名義人の表示が現在の表示に合致していなくても,当該権利の主体である登記名義人の同一性には何ら変わりはないのですから,その名義のままでも,当該権利に関する登記の効力に影響を及ぼすことはありません。古くからの判例が採っている見解であり,登記実務の取扱いも同じです。具体例を一つ挙げましょう。甲所有のA不動産を「乙野太郎」が買い受けてその旨の登記をしたのですが,その際に何らかの過誤によって登記名義人が「乙野太朗」と記録されました。そこで,甲からA不動産を二重に買い受けたと称する丙が,乙野太郎に対して,同人の所有権の登記における登記名義人の記録は実体と一致しないから無効であり,したがって,同登記には,対抗力がないと主張したとします。このような主張は,認められません。この場合,権利主体の同一性は失われておらず,「乙野太朗」は「乙野太郎」を表示したものですから,その名義のままで,当該登記は,有効なのです。
『以上、字数制限のため2分割で投稿しました』
2024.07.15 13:28
まいわしさん
(No.11)
完全に理解出来たとはちょっと言えなくて申し訳ないのですが、最初に質問したときよりは理解できたように思います
解除後のところが最初に問題を解いたときにはうまく入ってきてなかったなと思います
ありがとうございました
2024.07.15 22:03
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