無権利者について
ぷーさん
(No.1)
時効の過去問には、例えば時効取得について、
①無権利者である相手から土地を買い受け善意無過失で10年間占有した場合時効取得できる
という内容がありますが
物権変更の問題では
②無権利者から土地を取得した者も無権利者となる
とあります。
物権変動(②)のことを考えると①についても自分のものにはならないのではと思ったのですが、こちらはどのように考えたらよいのでしょうか。無権利者から買い受け自分も無権利者の状態であっても時効が成立すれば自分のものとなる、ということなのでしょうか。
2023.08.16 00:22
Mmegさん
(No.2)
所有権のない人(無権利者)が10年ないし20年占有し続けることで成立する制度です。
もともと権利のある人は取得時効など援用する必要もありません。
無権利者だからこその時効取得ですよ。
2023.08.16 18:09
通りすがりの法律家さん
(No.3)
もともと権利のある人でも取得時効を援用できます。
取得時効の本質を考えた場合、
無権利者だからこその時効取得とはいえず、
柔軟な判断が大切だと思います。
時効取得というプロセスを法的に分析すると、
占有されて作り出された外観と
仮装譲渡されて作り出された外観には類似性があり、
権利外観法理にも通じるように感じます。
2023.08.16 20:45
Mmegさん
(No.4)
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第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と【他人の物】を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と【他人の物】を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
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通りすがりの法律家さんより、ご指摘いただきました内容を調べてみました。
過去2つの判例があるのですね。
以下、某サイトからの引用ですが、
1、二重譲渡の事案で、登記を具備した第三者からの家屋(土地)明渡し請求に対して、未登記の譲受人が時効取得を主張(最高裁s42.7)
2、不動産の売買契約当事者間において、契約の成立が争われた事案で、買主が売主に対して、取得時効を援用(最高裁s44.12)
自己の所有権を立証できない状況である場合において、取得時効を援用したということなんですね。
1は相手が登記を備えているという、本来、自分は対抗力を備えておらず、2も恐らく登記してなさそうで、当時の契約書などが既になかったのかもしれません。個人的にはどちらも「自己の物」と言うには微妙な状況に思えますが、だからこその時効取得の援用を認めるという判決なのでしょう。
この度、一つ勉強になりました。
通りすがりの法律家さん、ありがとうございました。
2023.08.16 23:44
通りすがりの法律家さん
(No.5)
自己物の時効取得は、
「真の所有者を救済するスキーム」ですので、
「自己の物」と言うには微妙な状況に思えるかもしれませんが、
「自己の物」であることが前提です
裁判所がそれにお墨付きを与えたということです
判例は、
「所有権に基づいて不動産を占有するものについても民法162条の適用がある」(最判S44、12,11)
と判示しており、
自己所有物であっても、
時効取得を登記原因として所有権移転登記が可能ということになります。
1、二重譲渡の事案
登記はあくまでも第三者対抗要件ですので、
当事者間では意思主義(176条)により所有権が移転しておりますので、
自己物となります。
その上で取得時効の成立を認めました。
2、不動産の売買契約当事者間の事案
裁判所は契約が成立しているとの心証を形成したからこそ請求を認容しているのであります。
ということは、所有権が移転し自己物になっていることを前提に
取得時効の成立を認めたわけであります
民法162条の「他人の物」という文言は,
あくまでも通常の場合を規定しただけに過ぎず、
「自己の物」の時効取得を否定するものではないということです。
そもそも162条は、強行規定ではありませんし、
判例とは条文を紐解いた読み物ですので、
裁判所は、そのような内容の条文と解釈していると覚えておいてください。
いや~法律って難しいですよね
私も勉強になりました
まだまだ不勉強な身ですので
間違っていたら申し訳ありません
Mmegさんありがとうございました。
暑い日が続くようですので、
ご自愛くださいませ。
2023.08.17 01:11
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