民法の契約不適合について

きしゅんさん
(No.1)
Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。


“甲土地の実際の面積が本件契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合、Bはそのことを知った時から2年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができない。”

誤り。契約不適合責任の追及に関して、買主から売主への通知期間が不適合を知った時から1年に制限されるのは、引き渡された売買目的物が「種類又は品質」に関して契約の内容に適合しないときです。契約不適合責任は、引き渡された目的物が「種類、品質又は数量」に関して契約の内容に適合しないときに追及できますから、本肢のように数量が契約内容に適合しない場合には、通知期間の制限はなく、知った時から5年 or 引渡しから10年の消滅時効にかかるまで請求が可能です。


以下質問
初歩的な質問ですみません。この問題に関して2つ疑問に思ったことがあります。まず1つ目に、A所有の土地売買ですが、これは宅地を取引しているわけではないから宅建業法ではなく民法での扱い。

2つ目に、仮にこれが宅地の売買だった場合、Aが売り渡した土地の面積が少ない事をBが発見してから1年以内に通知。もしくは引き渡しから2年以上の担保特約がある場合はそちらが優先される。

の認識で合っていますでしょうか...?勉強を始めた頃からの疑問だったので、よろしくお願いします
2022.07.21 12:44
こっけいさん
(No.2)
きしゅん様

一つ目、本問の土地売買に関してですが、「甲土地」とのみ書いてありますので宅地かどうかは明示されていません。なので宅地の取引ではないと判断するのは危険です。なのでこの売買契約が宅建業法に該当するかはまだ明確には判断できません。
また本問の内容に限って言えば、宅建業に当たるかは関係ありません。問われている内容が宅建業法でなく民法の規定によるものだからです。宅建業法がカバーしていない範囲は、他の法律がカバーしていれば当然そちらを優先します。ざっくりしたイメージとしては、大きい範囲で民法が規定されていて、その中で宅地建物の取引上特に必要なことを宅建業法で細かく規定している感覚です。なので問題文的には宅建業法は直接には関係ありません。

二つ目、上記の通り宅建業法の範囲ではなく民法の範囲を問われています。宅地であるかどうか、更には宅建業であるかは関係ないため、解説の通りとなります。
また本問は土地面積、すなわち数量に関する契約不適合なので期間制限はありません。種類や品質に関することであれば1年の制限があります。
担保特約は8種制限の内容からと思いますが、この担保特約は「民法上でその指摘に期間制限がある契約不適合」に関してが2年となります。今回の数量に関しては、期間制限を定めてしまうと、期間制限のない民法の規定より重くなりますので適用できないと解釈します。
もし種類や品質の契約不適合であれば、二つ目は仰る通りかと思います。

ざっくりと以上の説明となります。
2022.07.21 16:48
ヤスさん
(No.3)
1つ目の質問が少しわからなかったのですが、「この問題の事例は宅地の取引ではないから、宅建業法40条が適用されないで合っているか」でしょうか?

いいえ、宅建業者が売主で、買主が業者以外じゃない(と言うか、問題文に記載ない)からです。
宅建業法40条はいわゆる「8種制限」の1つで、業者が売主で、買主がシロートの場合の民法566条の特例を規定しています。
念のため宅建業法40条を抜粋しますね。

第四十条  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2  前項の規定に反する特約は、無効とする。


条文見てもらうとわかると思いますが、「種類または品質」に関しての不適合責任について、民法566条の「知ってから1年以内に通知」を「引き渡しから2年以上」とする特約ならOK。それ以外の買主に不利になる特約は無効としています。

次に2つ目の質問に答えます。
仮にこの事例が業者が売主、買主がシロートだった場合の話ですね。
その場合、何も特約がなければ、解説にある通り、知ってから5年or引渡しから10年の消滅時効にかかるまで請求可能です。

「種類または品質」に限っての不適合責任を定めた民法566条の、さらに「売主=業者、買主=業者以外」の場合の宅建業法での特例が、この40条です。
今回の事例は、数量不足の場合の契約不適合ですので、民法566条は適用されず、民法562条が適用され、必然的に566条の特例である宅建業法40条も適用されないと言う結論になります。
宅建業法40条は適用されませんが、民法562条は任意規定ですので、別に特約を定めてもかまいません。

よって2つ目の答えは
特約なし→知ってから5年or引き渡しから10年までは不適合責任追及可能(民法の規定に従う)
特約あり→特約に従う(仮に買主に不利な特約であっても)

以上のようになります。
2022.07.21 16:53
こっけいさん
(No.4)
上での私の説明後段は言葉足らずで間違いがございました。
ヤス様の解説が詳細なので、私の方、特に後段は無視してください。
大変失礼致しました。
2022.07.21 17:09
きしゅんさん
(No.5)
こっけいさん、ヤスさんご回答ありがとうございます!2年以上の担保責任特約が8種制限なのが完全に頭から抜けてました!ものすごくわかりやすかったので、スクショして忘れそうな時に見返します!ありがとうございました!
2022.07.22 11:51

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