意思表示での第三者について

Sempillさん
(No.1)
意思表示で分からないところがあったので質問します。



「A所有の土地について、AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた場合において、Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約が公序良俗に反し無効であることを知らなかった場合、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。」

「Aが、その所有地について、債権者Bの差押えを免れるため、Cと 通謀して、登記名義をCに移転したところ、Cは、その土地をDに譲渡した。この場合、Dが善意であっても、Dが所有権移転の登記をしていないときは、Aは,Dに対し所有権を主張することができる。」


上の解答は第三者のCが所有権を取得できないが正解で
下の解答がAが第三者のDに所有権を主張できないとなっていますが。
このふたつの第三者では、どのように違うのでしょうか?


なぜ上のCは所有権を持てず下のDは所有権を持てるのでしょうか?

単に問題文をよく読んでないからかもしれませんが。詳しい方解説をよろしくお願いします。
2022.03.04 12:27
宅マ管賃&行書マンさん
(No.2)
■上の問題について

(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
例)刑法の刑事罰に触れるような事
(相手をぶん殴ってボコボコにしたら土地をやる!愛人契約など)

公序良俗違反は、絶対的に「無効」です。

善意の第三者が登場して、この第三者が保護される(所有権GETできる)とすれば、

結果的に、違法な売買契約で行われたA所有の土地がCさんの手に渡るとなれば、

AB間で「契約が無効」だとしても、結果的に、A  ⇒  Cに所有権が移転して、

あたかも違法行為を民法(法)が助長することになります。

したがって、

AB間の売買契約が公序良俗に反し無効  
⇒  この時点で「絶対的無効(誰に対しても無効主張OK)」となり、
その後に、転々譲渡されて「善意の」第三者Cさんや転得者が現れたとしても、
Aさんは、公序良俗による無効を「Cさんに対抗できる!」Cさんは保護されない。となります。

試験対策のポイントは

◆公序良俗違反は、善意の第三者にも善意無過失の第三者にも誰に対しても「主張(対抗)」OK!

善意(事情を知らなかった)の第三者の保護  VS
  社会全体から許されない事(人々が守るべき社会の秩序)を
天秤に掛けたときに、「人々が守るべき社会の秩序」が優先します。

■下の問題について

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の「第三者」に対抗することができない。

A-(虚偽表示=無効)ーCー(譲渡)→第三者D(善意)

・上の問題の公序良俗違反の無効と異なり、「絶対的無効」と異なり、
また、民法94条では、第三者Dさんが保護される要件として、「善意」であればよく、
「登記を備える」事まで要求していないため、このような結論となっております。

・AC間の売買契約は、確かに無効ですが、この無効というのは、
公序良俗違反のような「相手をぶん殴ってボコボコにしたら土地をやる」等といったものではなく、

善意(事情を知らなかった)の第三者の保護  VS  仮装譲渡した(落ち度)があるAさんの保護を
天秤に掛けたときに、「善意(事情を知らなかった)の第三者の保護」が優先します。

試験対策のポイントは

相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
虚偽による意思表示の無効は、善意の「第三者」に対抗することができない。
※善意無過失×/登記の有無×
2022.03.04 13:36
Sempillさん
(No.3)
宅マ管賃&行書マンさん

ご回答ありがとうございます。
わかりやすく解説していただいたおかげでやっとこの問題のモヤモヤがスッキリしました(*^^*)
2022.03.04 14:03

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